2017 Fiscal Year Annual Research Report
浮動小数点関数計算のハードウェアアシストに関する研究
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16H02795
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Research Institution | Kyoto University |
Principal Investigator |
高木 直史 京都大学, 情報学研究科, 教授 (10171422)
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Co-Investigator(Kenkyū-buntansha) |
高木 一義 京都大学, 情報学研究科, 准教授 (70273844)
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Project Period (FY) |
2016-04-01 – 2020-03-31
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Keywords | 計算機システム / 関数計算 / 浮動小数点演算 / FPGA / 指数・対数関数計算 / 正弦・余弦関数計算 |
Outline of Annual Research Achievements |
浮動小数点演算標準 IEEE754-2008では、指数関数、対数関数、三角関数等を「正確に丸めるべき関数」、すなわち、定められた精度で正確に計算すべき関数として推奨している。これを受け、関数計算ライブラリの開発、修正が行われているが、倍精度の関数値を通常の倍精度浮動小数点演算器等を用いてソフトウェアで計算するには、多大な計算時間と消費エネルギーを要する。本研究は、これらの関数を高速にエネルギー効率よく計算するためのハードウェアアシスト手法を開発することを目的としている。今年度は、以下の研究を行った。 1) 指数関数系および対数関数系の関数について、前年度に開発したFPGA実現向きの専用計算回路の構成法を洗練し、FPGA上に実装し、評価を行った。高基数法と低次多項式近似による計算と丸め補正を、ブロックRAMを用いたテーブル参照およびDSPブロックとキャリーチェインを用いた短冊形乗算によって効率よく実現した。 2) べき乗計算系およびべき乗根計算系の関数について、倍精度以上では正確丸めに対応することが困難であることを明らかにし、1)で述べた指数関数および対数関数の計算を組み合わせた、FPGA実現向きの精度の高い専用計算回路の構成法を示した。 3) 三角関数系の関数の内、正弦及び余弦関数について、FPGA実現向きの専用計算回路の構成法を開発した。超高基数CORDICと低次多項式近似による計算と丸め補正を、ブロックRAMを用いたテーブル参照およびDSPブロックとキャリーチェインを用いた短冊形乗算によって効率よく実現できることを示した。
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
2: Research has progressed on the whole more than it was originally planned.
Reason
当初の研究計画では、平成28年度に研究の遂行に必要な環境を整備するとともに、指数関数系および対数関数系の関数についてFPGA実現向きの専用計算回路の構成法を開発し、平成29年度にべき乗計算系およびべき乗根計算系の関数について、平成30年度に三角関数系および双曲線関数系の関数についてFPGA実現向きの専用計算回路の構成法を開発する予定であった。 現時点で、指数関数系および対数関数系の関数についてFPGA実現向きの専用計算回路の構成法の開発し、ほぼ評価を終えている。べき乗計算系およびべき乗根計算系の関数については、倍精度以上では正確丸めに対応することは困難であるが、本研究で開発した指数関数計算法と対数関数計算法を組み合わせることにより、FPGA実現向きの精度の高い専用計算回路の構成法を示した。また、当初は平成30年度に本格的に研究する予定であった三角関数系の関数のうち、正弦および余弦関数について、前倒しで、FPGA実現向きの専用計算回路の構成法を開発した。
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Strategy for Future Research Activity |
ほぼ、当初の計画通りに研究を進める。 平成30年度は、主に三角関数系および双曲線関数系の関数を中心に、以下の関数についてFPGA実現向きの専用計算回路の構成法の開発、評価を行う。計算の中間結果に必要な精度(ビット長)の解析を初年度に整備した環境で行う。計算時間やハードウェア量の解析等を計算機シミュレーションおよび初年度に整備したFPGAの設計環境、評価環境で行う。 1) 初年度に開発し、前年度に洗練した指数関数系および対数関数系の関数に対するFPGA向きの専用回路の構成法の評価を進める。 2) 前年度に開発した、べき乗計算系およびべき乗根計算系の関数に対する精度の高いFPGA実現向きの専用計算回路の構成法を洗練し、演算精度と計算時間および必要なハードウェア量との関係を明らかにする。 3) 前年度に前倒して提案した、正弦および余弦関数に対するFPGA実現向きの専用計算回路の構成法を洗練する。さらに、他の三角関数系の関数および双曲線関数系の関数について、FPGA実現向きの専用計算回路の構成法を開発する。多項式近似法の他、CORDIC法等の収束法について、ハードウェア実現の観点から検討する。以前に、CORDIC法に基づくハードウェアアルゴリズムを開発した際に得られた知見を活用する。
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Research Products
(3 results)