2017 Fiscal Year Annual Research Report
刹那の遊休活用による安定的な共創型超並列分散計算基盤の創出
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16H02801
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Research Institution | Osaka University |
Principal Investigator |
伊野 文彦 大阪大学, 情報科学研究科, 教授 (90346172)
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Project Period (FY) |
2016-04-01 – 2020-03-31
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Keywords | GPU / マルチタスク / 並列分散処理 |
Outline of Annual Research Achievements |
本研究の目的は,家庭やオフィスで日常的に使われているグラフィクスハードウェアGPU(Graphics Processing Unit)上で,遠隔から投入される科学計算の超並列処理を実現することである.その実現のために,平成29年度は以下2点の研究課題に取り組んだ.
まず,GPUにおける遊休サイクルの活用を自動化するために,マルチタスク実行のための適切なタスク粒度を推定する手法を開発した.GPU向けのマルチタスク実行は,GPUを日常的に使用するホストに対してはフレームレートを維持し,同時に科学計算を投入するゲストに対しては計算の高速化を両立する必要がある.開発した手法は,この両立の鍵となるタスク粒度を動的に調節できる.評価の結果,画像フィルタのフレームレートを維持しつつ,行列計算の実効性能の低下を5%に抑えられ,適切なタスク粒度を自動的に設定できることが分かった.
次に,画像認識のための深層学習を複数のGPUノード上で加速できる並列プログラムを開発した.開発した並列プログラムは,標準通信仕様MPI(Message Passing Interface)を用い,GPUノード間でメッセージを交換しながら深層学習を実現する.この学習プログラムを,GPUを装備する4ノードの実行環境上で評価した結果,専有実行時において台数に対して線形な速度向上を得た.また,共有実行時における性能を評価するために,GPUを酷使する画像フィルタを実行しながら並列に学習した結果,各ノードにおいて秒間40フレーム弱のフレームレートを維持できた.ただし,ホストの使用状況に応じて学習の計算負荷がノード間で偏ることが分かった.
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
2: Research has progressed on the whole more than it was originally planned.
Reason
実運用に基づく実行履歴を先行して収集することを優先させた結果,次年度以降に計画していた応用研究(複数のGPUノードを用いた深層学習の高速化)を先行して進めた点は想定以上の進捗である.ただし,本年度に取り組む予定であった課題(GPUプログラムの自動生成)の一部を先送りしたため,これらを差し引いて全体の進捗は計画通りである.
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Strategy for Future Research Activity |
手作業で開発した応用プログラムの開発労力を軽減すべく,マルチタスク向けGPUプログラムの自動生成に取り組む予定である.また,これまでに得られた成果を発表していくことで,研究者からのフィードバックを計画に取り込み,研究の円滑な遂行に役立てる予定である.
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Research Products
(13 results)