2017 Fiscal Year Annual Research Report
大規模データセットに生じるハブ現象の解明とその医療生命系データへの応用
Project/Area Number |
16H02821
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Research Institution | Yamagata University |
Principal Investigator |
原 一夫 山形大学, 理学部, 准教授 (30467691)
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Co-Investigator(Kenkyū-buntansha) |
鈴木 郁美 山形大学, 大学院理工学研究科, 助教 (20637730)
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Project Period (FY) |
2016-04-01 – 2020-03-31
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Keywords | 近傍検索 |
Outline of Annual Research Achievements |
「ハブネス」は,高次元空間におけるデータセットに生じる現象である.他の数多くのデータと類似するデータ(「ハブ」と呼ばれる)が出現する現象のことを言う. ハブネスは,次の問題を引き起こすため,データセットの類似検索の価値を低下させる:(1)ハブによる検索結果上位の独占:クエリによらず検索結果の上位を少数のハブが占めること,すなわち,検索結果の上位にハブとなるデータがいわばスパムのように出現すること.(2)検索結果上位に現れにくいデータ数の増大:(ハブとなるデータとは反対に)ほとんどアクセスされないデータの数が増大すること. 本年度,私たちは,半教師あり学習の精度改良に成功した.機械学習において,ラベルなしデータを積極的に活用する半教師あり学習は,人手によるラベル付与というコストフルな作業が不要なため,ビッグデータ解析に適すると考えられる.しかし,半教師あり学習において代表的な,k近傍グラフでのラベル伝播によるアプローチは,k近傍グラフに出現しやすいハブノードが(意味あるラベルだけでなく)ノイズも伝播してしまうという問題があった.私たちはこの問題を解決することに成功した(情報検索のトップ国際会議である SIGIR 2017 で成果を発表した). さらに,本年度は,「構造データ(非ベクトル値データ,とくに,バイオ配列データ,単語共起データ)に関わるハブを抑制する」および「ハブ現象を異常値検出に応用する」に関するアイデアの構築と,予備実験によるアイデアの検証まで進むことができた.
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
2: Research has progressed on the whole more than it was originally planned.
Reason
交付申請書に平成29年度の予定として記した「構造データに関わるハブを抑制する」を,予定どおり達成できたため(成果の外部への発表は平成30年度の予定).
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Strategy for Future Research Activity |
「構造データ(非ベクトル値データ,とくに,バイオ配列データ,単語共起データ)に関わるハブを抑制する」および「ハブ現象を異常値検出に応用する」に関する論文執筆を行う.以上が順調に進んだ場合は,交付申請書に記載した「ハブの生じない近似近傍検索を実現する」に取り掛かる予定である.
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