2017 Fiscal Year Annual Research Report
公共空間におけるスマートデバイスに対する物理攻撃への対策スイートの研究開発
Project/Area Number |
16H02831
|
Research Institution | Nara Institute of Science and Technology |
Principal Investigator |
林 優一 奈良先端科学技術大学院大学, 情報科学研究科, 教授 (60551918)
|
Co-Investigator(Kenkyū-buntansha) |
本間 尚文 東北大学, 電気通信研究所, 教授 (00343062)
嶺岸 茂樹 東北学院大学, 工学部, 教授 (70146116)
藤本 大介 奈良先端科学技術大学院大学, 情報科学研究科, 助教 (60732336)
|
Project Period (FY) |
2016-04-01 – 2019-03-31
|
Keywords | 電磁情報セキュリティ / サイドチャネル攻撃 / 情報システム / ディスプレイ / スマートデバイス / 電磁環境 |
Outline of Annual Research Achievements |
今年度は、機器から放射される情報漏えい周波数において、描画情報の色が変化する際、放射電磁波の振幅に差が生ずることに着目し、ディスプレイに表示する情報を選択することで、機器から放射された電磁波スペクトルの中で、情報を含む周波数か否かを簡単に判定出来る評価手法を提案した。本手法により、従来法に比べ、簡便な処理によって評価が実現可能となったことから、スマートデバイス内外の漏えい情報を含む電磁界伝搬を高速に計測することが可能となった。また、上記の計測により、情報の漏えいは画面描画に関わるデータをシリアルに処理するIC及びケーブルを漏えい源とし、それらの信号が伝送される際、屈曲部などを有する部分から寄生結合を通じて周囲の導体に信号が漏えいすることにより生ずることを明らかにした。
また、上記のメカニズムにより、情報を含む電磁放射は機器を構成する基板のサイズや信号を伝送するケーブル長などの物理構造により引き起こされると予想されることから、設計データからこうした物理構造のみを抽出した簡易的なシミュレーションモデルを構築した。
さらに、情報漏えいに関し、機器内部の電気回路を意図的に改造し、情報漏えいを意図的に誘発する脅威が近年指摘されており、これまで検討をおこなってきた「機器から非意図的な電磁放射により引き起こされる脅威」に加えて、これらの脅威についても基礎的な評価法・対策法の検討に着手した。
|
Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
2: Research has progressed on the whole more than it was originally planned.
Reason
今年度はメカニズムの解明とシミュレーションモデルの構築を目標に掲げ研究を遂行し、予定通りの結果を得ている。また、メカニズムを解明するために必要となる電磁波伝搬計測・評価手法については従来の評価法に比べ1/10から1/100程度の時間で評価を可能にする評価法を新たに開発することに成功している。今年度のターゲットはタブレットやスマートフォンなどのタッチスクリーンデバイスであったが、開発した評価方法は情報機器全般に汎用的に適用できる可能性がある。
|
Strategy for Future Research Activity |
今後は、これまでに開発を行った評価システム及びシミュレーションモデルを用いてスマートデバイス内外の電磁界伝搬を高時間・高空間分解能で観測し、電磁波可視化技術を用いて時系列で可視化することにより、漏えいの詳細なメカニズムを解明すると共に評価法を確立する。さらに、得られたメカニズムを基に、配線パターンなどの幾何的な形状及び、環境電磁工学分野で開発されたノイズ抑制素子、これまでに開発した電磁界センサなどを効果的に組み合わせ、それを逐次シミュレーション上で評価しながら、幅広い機器に適用可能な対策技術を開発する。さらに、情報の漏えいを意図的に誘発するハードウェアトロージャンによる脅威についても検討を進める予定である。
|
Research Products
(11 results)