2016 Fiscal Year Annual Research Report
運転自動化における高齢者の行動分析に基づく運転システムの設計
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16H02862
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Research Institution | Hiroshima City University |
Principal Investigator |
池田 徹志 広島市立大学, 情報科学研究科, 講師 (50397618)
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Co-Investigator(Kenkyū-buntansha) |
内海 章 株式会社国際電気通信基礎技術研究所, 知能ロボティクス研究所, 研究室長 (80395152)
加藤 弓子 聖マリアンナ医科大学, 医学部, 研究員 (10600463)
岩城 敏 広島市立大学, 情報科学研究科, 教授 (00453209)
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Project Period (FY) |
2016-04-01 – 2019-03-31
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Keywords | ヒューマンインタフェース |
Outline of Annual Research Achievements |
H28年度は,自動運転時に生じる外界との連結性の低下に注目し,連結性を適度に保つことによりドライバーの快適さを高めることを検証するため,自動運転時の行動を緻密に計測するシステムを構築した.また,生理的指標として心拍特徴を用いたストレス計測手法を用いて,構築したシステムによる自動運転時のドライバーの快適さを検証する予備的な実験を行った.
はじめに,大型ディスプレイを用いた運転シミュレータを用いて,自動運転時のドライバの快適さを計測する実験システムを構築した.ドライバと外界の連結性の点から重要となる加速度を呈示するため,自動運転時における車両の挙動をシリンダ駆動でドライバーに伝えるシミュレータシートを導入した.以上の実験システムを広島市立大学,(株)国際電気通信基礎技術研究所の両方に設置し,実験条件の検証や被験者実験の実施を連携して行う体制を確立した.
次に,構築した実験システムを用いて,自動運転時のドライバーの生理的指標として心拍特徴を用いてドライバーの快適性を評価する予備的な実験を行った.自動運転時に前走車の急減速を行った際には,ドライバーのストレスが有意に計測できることを確認した.一方で,非常時では無い条件での走行中には,自動運転のアルゴリズムの差異による快適感の測定には課題があることも明らかになった.以上により,快適性の変化を定量的に計測する手法確認と今後の研究方針に関して準備が整った.
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
3: Progress in research has been slightly delayed.
Reason
H28年度は,大型ディスプレイを用いた運転シミュレータを用いて,自動運転時のドライバの快適さを計測する実験システムを構築した.ITS研究で広く用いられている運転シミュレータ((株)フォーラムエイト社製UC-Win/Road)に機能の追加を行い,自動運転時に様々な運転状況を再現するソフトウェアを実装し,シミュレータを用いた計測方法の検証を行う環境を整えた.さらに,ドライバーと外界との連結性を評価するためには,自動運転時における車両の挙動をドライバーに常に呈示することが不可欠であるため,シリンダ駆動で車両の動きをドライバーに伝えるシミュレータシート(アクセス社製ACSIM)を導入した.運転シミュレータと連動してシミュレータシートを駆動するため,シミュレータにさらに機能追加を行い,連動して車両の挙動を呈示する実験システムを構築した.
広島市立大で導入した周辺機器とドライビングシミュレータの通信に問題があり,周辺機器メーカーと情報共有しながら検証を繰り返した.結果的に機器の不具合が判明し,返送しての修理および動作確認を行ったため,ドライビングシミュレータを用いた実験開始が遅れる問題があった.この間に,同等の実験環境を構築した(株)国際電気通信基礎技術研究所においてドライビングシミュレータへの機能の追加および動作確認を進め,実験準備を並行して行った結果,大きな遅れは無く予備実験を進めることができた.
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Strategy for Future Research Activity |
自動運転時に生じる外界との連結性の低下に注目し,ドライバーの快適さを高く維持する連結性の条件を調査するため,H28年度に構築した運転シミュレータおよび自動運転時の行動計測システムを用いて被験者実験を進める予定である.
自動運転時の快適性を評価するためには,生理指標の心拍特徴が明確な指標となる場合もあるが,主観的な快適感と一致しない場合も多く,1つの指標に基づく検出には課題が残る.これに対して,生理指標として皮膚電気伝導度の指標を導入し,さらに主観的な快適感も同時に調査することにより,様々な指標の比較検討により高い精度の快適感計測手法を確立することを目指す.
構築した運転シミュレータシステムを用いて,外界との連結性をいくつかの段階に設定して,ドライバーの感じるストレスや快適性を比較する被験者実験を進める.これにより,ドライバが外界との結びつきの程度に依存した快適性の変化を調査する.具体的には,映像,音,加速度などによってドライバーに伝わる連結性の強弱を変更し,通常の手動運転の状態から,完全に遮断する場合まで,いくつかの条件を比較検討する.これにより,ドライバの快適と感じる自動運転を連結性の観点からモデル化し,安全性と快適性を両立した自動運転システムを提案する.また自動運転のドライバにおける,生理的指標による快適感と,主観的な快適感との関係についても調査を進める.具体的には,様々な自動運転のアルゴリズムを経験したドライバによる反応を計測することにより,自動運転の違いによる快適さを調査すると共に,生理的手法に基づく評価の妥当性および信頼性に関しても知見を蓄積する.
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