2017 Fiscal Year Annual Research Report
知的創造活動の大規模マルチモーダルデータベースの構築と生産性向上手法の発見
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16H02867
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Research Institution | Nagoya University |
Principal Investigator |
長尾 確 名古屋大学, 情報学研究科, 教授 (70343209)
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Co-Investigator(Kenkyū-buntansha) |
栗原 一貴 津田塾大学, 学芸学部, 准教授 (10462855)
松原 茂樹 名古屋大学, 情報連携統括本部, 教授 (20303589)
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Project Period (FY) |
2016-04-01 – 2019-03-31
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Keywords | 知的創造活動支援 / ディスカッション / プレゼンテーション / 機械学習 / データベース |
Outline of Annual Research Achievements |
アイディア創造や創造的会議のように知的創造に関する人間活動は様々なものが行われている。そのための支援技術も多く提案されてきている。問題は知的創造活動を詳細に分析して、特徴抽出をするための大規模なデータベースが存在しないことである。我々は、大学研究室内のセミナーを詳細に記録して、議論構造などを分析したデータベースを構築した。それは、約10年間かけて行われた650回(総時間は1000時間以上)のセミナー情報を含んでいる。そのデータベースを拡張し、セミナー以外の知的活動も記録・分析する仕組みを構築した。その結果は、人間の知的創造活動を多様な観点から分析するために有効なデータベースとなる。また、機械学習によって人間が気づかなかった特徴を発見し活動を支援できるので、将来的には知的創造活動の生産性を向上させる仕組みも実現できる。本研究によって、主に大学での研究に関する、様々な知的創造活動の科学的分析を可能にする基盤が構築される。具体的には、音声・画像・映像を含む大規模な構造化ディスカッション・プレゼンテーションデータベースが主な成果になる。また、これらのデータベースの応用として、知的創造活動の質の評価値を予測するための機械学習モデルを構築した。ディスカッションの評価モデルは、既存研究であるディスカッションマイニングシステムを拡張して、発言の音響的・言語的特徴および、発言者の心拍数に基づく精神生理学的特徴を抽出することで入力データを取得し、ロジスティック回帰分析によって構築した。プレゼンテーションの評価モデルは、発表者の音声・視線・心拍数・スライド内容・ポインティング動作から入力データを作成し、ディープラーニングの手法を用いて構築した。
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
2: Research has progressed on the whole more than it was originally planned.
Reason
予算と時間の問題から、一部構築を断念したシステムがある。それは、論文執筆における推敲支援および高度なアノテーションシステムである。そのため、学生の論文執筆における創造活動のログを詳細に記録することができなかった。それ以外、つまり、研究計画立案、ディスカッション、プレゼンテーション、研究活動における課題遂行に関しては、支援システムの構築およびデータ収集の仕組みが実現できた。
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Strategy for Future Research Activity |
最終年度は、新しく配属された学生を被験者にした、知的創造活動の生産性向上に関する実証実験を行う。まず、研究計画立案に関して、研究活動マップに沿った行動の推薦とその行動の評価およびそれに対するフィードバックを分析し、生産性の関連を調査する。次にディスカッションにおける発言を評価し、その評価値と生産性の関連を調査する。同様に、プレゼンテーションを評価し、その評価値と生産性の関連を調査する。ディスカッションは研究室におけるセミナーのデータを収集し、プレゼンテーションは学会発表前に行うリハーサルのデータを収集する。支援システムおよびデータ収集システムは、これまでに構築したものを用いる。ただし、プレゼンテーションリハーサルシステムに関しては、最新のVR技術を用いて拡張し、より臨場感のあるプレゼンテーションのトレーニングが行えるようにする。
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