2016 Fiscal Year Annual Research Report
人口・産業集積の時空間ビッグデータにみられる相転移挙動の計算科学的研究
Project/Area Number |
16H02872
|
Research Institution | The University of Tokyo |
Principal Investigator |
大西 立顕 東京大学, 大学院情報理工学系研究科, 准教授 (10376387)
|
Co-Investigator(Kenkyū-buntansha) |
水野 貴之 国立情報学研究所, 大学共同利用機関等の部局等, 准教授 (50467057)
久野 遼平 東京大学, 大学院情報理工学系研究科, 特任助教 (60725018)
|
Project Period (FY) |
2016-04-01 – 2020-03-31
|
Keywords | 時空間ビッグデータ / 地理空間情報 / 位置情報 / 都市のスケーリング則 / ベキ分布 / 超並列計算 / 経済物理学 / 社会物理学 |
Outline of Annual Research Achievements |
本研究課題では,大量のミクロな地理空間情報に注目し,スーパーコンピュータを活用して人口・産業集積に関する時空間ビッグデータを効率的に処理し,相転移挙動の視点から解析することで集積現象の解明を目指す.まず,人口・産業集積に関する全国規模の網羅的な時空間ビッグデータを調査・取得し,解析に用いるための時系列地図情報を整備した.人口集積に関するデータとして平成22年国勢調査100mメッシュ推計データ,モバイル空間統計サマリーデータ(携帯電話の位置データ)を整備した.産業集積に関するデータとして座標付き電話帳データベーステレデータPack!,ハローページ電話帳リスト,日本スーパー名鑑ポイントデータを整備し,店舗・施設1件1件の位置・業種の情報を時系列として利用できる環境を整えた.静的な特性の解析として,これらのデータの基本的統計性を調査し,都市のスケーリング則の解析を行った.都市の人口はベキ分布に従うと言われるが,本研究で扱う人口データはきれいなベキ分布に従っているわけではなく拡張指数分布に近いことが判明した.店舗・施設数もこれと同じような分布に従っていることが判明した.人口が2倍になるとアウトカム(富,特許数,犯罪数など)は2倍以上に増加するが,公共インフラ(道路,病院数など)の増加は2倍以下になるという都市のスケーリング則が知られている.整備したデータの様々な店舗・施設についても,同様のスケーリング則が成り立つことを定性的に確認した.
|
Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
1: Research has progressed more than it was originally planned.
Reason
研究成果発表を積極的に行ったおかげで議論が深まり,今後の研究の進展に有用な情報を得ることができた.
|
Strategy for Future Research Activity |
時系列地図情報の整備,静的な特性の解析をさらに進める.スケーリング則で観測される非線形性を詳細に分析し,人口・産業の創発的な集積効果を考察する.さらに,動的な特性の解析も開始し,時間発展の観点から集積現象を分析する.
|
Research Products
(9 results)