2016 Fiscal Year Annual Research Report
接触快適感の計測評価システムに関する感性工学的研究
Project/Area Number |
16H02888
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Research Institution | Shinshu University |
Principal Investigator |
上條 正義 信州大学, 学術研究院繊維学系, 教授 (70224665)
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Co-Investigator(Kenkyū-buntansha) |
堀場 洋輔 信州大学, 学術研究院繊維学系, 准教授 (00345761)
吉田 宏昭 信州大学, 学術研究院繊維学系, 准教授 (40456497)
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Project Period (FY) |
2016-04-01 – 2019-03-31
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Keywords | 接触快適感 / 繊維製品評価 / 感性計測評価 / 快適感計測評価システム / 心理生理反応 |
Outline of Annual Research Achievements |
基準となる綿タオルサンプルを1種類設定し、撚係数を変化させた5種類、精紡方法が異なる3種類、番手を変化させた3種類、繊維繊度が異なる3種類、カード糸コーマ糸の2種類、繊維長2種類を用意した。糸密度は経糸38本/in、緯糸45本/in、パイル長は織機設定で12mmに統一した。綿タオルの材料特性として、吸水性、引張特性、せん断特性、圧縮特性、温熱特性、通気特性、吸水特性、吸水速乾特性、摩擦特性、曲げ特性を測定した。シェッフェの一対比較法(中屋の変法)を用いて綿タオルの肌触り感について八つの評価項目〈あたたかい、乾いている、なめらか、弾力感がある、ボリューム感がある、押しやわらかい、曲げやわらかい、肌触りは良い〉に対して7段階(非常に・かなり・やや・どちらでもない)で評価させた。試料が見えない状態で評価を行った。実験環境は室温24℃、湿度55%RHとした。被験者は男性5名、女性5名の計10名(23±1歳)だった。結果として、材料特性と手触り感評価それぞれで、仕様に応じた特性差があることが示された。ただし、材料特性と手触り感評価とは必ずしも一致性が高くなく、人が感じている特性については、従来の評価方法では求めきれないことが示された。 接触快適感計測評価システムの試作については、3軸直交マニピュレータと力覚センサを組み合わせた装置を作製し、センサからの出力信号を処理してマニピュレータを制御するためのシーケンサーについての取り付けを完了した。動作規範を特定するために、テンシロンを用いた圧縮特性試験を行い、ふかふか感と対応する可能性がある圧縮条件と評価指標についての予備実験を行った。その結果、圧縮回復特性に関する指標がふかふか感と対応する可能性を得た。
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
2: Research has progressed on the whole more than it was originally planned.
Reason
本年度の研究実施計画としては、(1)実験サンプルの作製、(2)接触快適感計測評価システムの試作研究であった。具体的には下記が実施できた。実験サンプルの作製では、繊維繊度、繊維長、太さ(番手)、撚り数、精紡方法などの仕様が異なる綿糸を用意し、13種類の綿タオルを作製した。そのタオルサンプルの材料特性や接触感を評価して、タオルの接触特性の差を明らかにした。接触快適感計測評価システムの試作では、直行マニュピレータに3 軸力覚センサを装着した装置を作製した。センサからの出力を処理して触察動作を制御するためのシーケンサーも装備した。圧縮評価試験を圧縮試験機で実施し、タオルの弾力性を評価するための評価指標を特定するための実験を行い、指標の候補を特定した。人の触察動作を把握するために、ふかふか感、ふわふわ感の心理構造を分析し、同時に3軸加速度センサによって触察動作を分析した。以上のことから計画通りほぼ進んでいると判断した。
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Strategy for Future Research Activity |
導入した計測評価システムの試作機を用いて、接触快適感を評価できる装置とするため、下記について実験を行う。(1)接触快適感の心理生理的評価指標の特定、(2)計測評価システムによるふわふわ感評価システムの構築。接触快適感の心理生理的評価指標の特定については、快適感は心理的なレベルと生理的なレベルに分けられると仮設されることから、計測評価システムで評価を目指す快適感を示す心理的指標と生理的指標を特定する実験を行う。ふわふわ感評価システムの構築においては、ふわふわ感を触察する人の動作や心理生理反応を規範として、それを評価できる出力が得られる計測評価システムとしての仕様を特定する実験を行う。 研究計画は当初の予定通りである。研究遂行上問題になる可能性がある項目としては、快適感は一つの評価指標で発現しているのではなく、複数の指標の組み合わせとなることが予想されるため、複数個の指標特定が必要になり、時間がかかることが予想される。研究協力者の増員を検討するなどして対応したい。
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Research Products
(7 results)