2016 Fiscal Year Annual Research Report
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16H02890
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Research Institution | Osaka University |
Principal Investigator |
高橋 俊光 大阪大学, 生命機能研究科, 助教 (00250704)
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Project Period (FY) |
2016-04-01 – 2019-03-31
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Keywords | 皮膚血流 |
Outline of Annual Research Achievements |
本研究は、「こころ」の状態を測るヒューマンインターフェースの新たな生理指標として、前額部皮膚血流を検討する。我々は最近、心的負荷時の前額部皮膚血液動態は、これまで計測が困難であった微妙な心的状態を反映する可能性を示した(Takahashi et al., 2011)。この成果に立脚し、心的負荷時に前額部の皮膚血管拡張を引き起こす自律神経の中枢制御機構の解明とともに、課題/計測条件を検討することで、「こころの計測」の新たな生理指標の確立を目指す。 本研究では、これまで、種々の心的負荷時における、様々な生理データを収集してきた。主には、①心理負荷の強度と皮膚血液応答の関係を調べるため、レーザスペックル血流画像化装置を用い、心理負荷時の、被験者の顔面の広範な部位の皮膚血流変化の計測をおこなった。顔面に分布する皮膚血管平滑筋のイオンチャネル分布は、種類、空間分布が一様でないことが知られているが、今回の顔面全体に高速な動画として計測できたため、これまで局所的にしか解析されてこなかった、顔面血流の顔面全体の皮膚血流の自律神経応答の時空間特性を調べることが可能となった。ただし、被験者が課題中に動いてしまった場合の補正に課題が残っている。②また、心的負荷時の自律神経活動の中枢ネットワークを推定するために、心理課題負荷時および安静時のfMRIによる脳活動と、指尖脈波、前額部皮膚血流(レーザドップラー皮膚血流計を使用)、および瞳孔径を同時計測した。現在、これらの種々の生理指標および計測モダリティの多次元データを、dynamical network analysisの手法などを適用し、統合的に解析を進めているところである。
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
3: Progress in research has been slightly delayed.
Reason
fMRI実験のために予定してた施設を別施設に変更する必要が生じたため、装置の使用申請に時間を要したため、実験開始が遅れ、後にやるはずだった顔面のレーザスペックル血流画像計測を先行させるなど、計画の組み立ての変更が生じたため、全体として、やや遅れていると自己評価する。
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Strategy for Future Research Activity |
次の2点を行う。 ①これまでのfMRIによる自律神経中枢の同定実験に加え、脳磁図(MEG)を用いた実験を行う。近年、自律神経活動、脳波律動、安静時脳活動との関連性に関する新たな研究報告が、他の研究グループより相次いで発表されていることから、新たに課題負荷時の全頭MEGと額皮膚血流の同時計測を行い、額皮膚血液変化に対するDefault mode network部位や他の脳部位との位相結合強度解析により、生理機構の解明を試みる。 ②また。前額部皮膚血流の簡易測定法を検討する。うつの鑑別診断で使われるNIRS装置は数千万円と高価なものであるが、前額部の皮膚血流を計るだけならば、非常に簡便かつ安価な計測法が開発できる可能性がある。安価なフォトダイオードと近赤外LEDを用いた分光器を実際に試作し、実用性を検討する。
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