2017 Fiscal Year Annual Research Report
ゲノムスケールヒト代謝のdFBAモデル開発と多剤併用療法への応用
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16H02898
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Research Institution | Kyushu Institute of Technology |
Principal Investigator |
倉田 博之 九州工業大学, 大学院情報工学研究院, 教授 (90251371)
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Project Period (FY) |
2016-04-01 – 2019-03-31
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Keywords | システム生物学 / 数理モデル / 代謝 / 動力学 / インスリン |
Outline of Annual Research Achievements |
薬剤投与、環境ストレス、遺伝子発現変化に対して、代謝系の表現型(増殖、流束分布、副作用)を予測する数学モデルが必要である。たとえば、肝細胞であれば、食後、絶食中、運動中、インスリンの投与に対して、肝細胞の解糖系、TCA 回路、グルタミノリシス(グルタミン資化)を含む、代謝の活性変化についての詳細な生物学的知見を再現できるかどうか検証する必要がある。 システム生物学の基盤である物質変換・エネルギー代謝を担う中央代謝システム(解糖系、TCA回路、ペントースリン酸回路、補充経路)のダイナミックモデルを開発した。今年度は、ヒトの動力学モデルを開発する前段階として、大腸菌の中心炭素代謝システムの動力学モデル(プロトタイプ)を開発した。世界初、世界最大規模のバーチャルメタボリズムモデルである。糖基質同化、酸素応答、細胞内の代謝物応答を担う遺伝子発現調節ネットワークを中央代謝反応回路に統合して、環境ストレスや遺伝的変化に対する細胞機能を予測した。有用物質生産の設計、突然変異株の増殖適応メカニズムの解明、ヒト細胞代謝モデルへの拡張に応用することが可能である。 一方で、今年度は、パラメータの測定データ不足のため、ヒト細胞の動力学モデルではなく、ヒト細胞のFlux Balance Analysis (FBA)モデルを開発した。中心炭素代謝に加えて、アミノ酸、葉酸ヌクレオチド、脂肪酸代謝を含むゲノムスケールネットワークのFBAモデルを構築した。FBAは、動力学パラメータを用いることなく、代謝反応の化学量論係数行列を用いて、目的関数を最大化する線形計画法である。
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
2: Research has progressed on the whole more than it was originally planned.
Reason
予定通り研究は進んでいる。
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Strategy for Future Research Activity |
臓器の組織ごとに代謝のFBAモデルを構築して、擬似定常状態における代謝流束の時間的変化をシミュレーションする数理モデルを構築する。
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