2016 Fiscal Year Annual Research Report
Implementing Person-Centered Home Dementia Care Using IoT and Cloud Computing
Project/Area Number |
16H02908
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Research Institution | Kobe University |
Principal Investigator |
中村 匡秀 神戸大学, システム情報学研究科, 准教授 (30324859)
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Co-Investigator(Kenkyū-buntansha) |
波多野 賢治 同志社大学, 文化情報学部, 教授 (80314532)
宮崎 純 東京工業大学, 情報理工学院, 教授 (40293394)
松本 真佑 大阪大学, 情報科学研究科, 助教 (90583948)
佐伯 幸郎 神戸大学, 先端融合研究環, 特命助教 (40549408)
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Project Period (FY) |
2016-04-01 – 2020-03-31
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Keywords | スマートセンサ情報システム / ユーザインタフェース / 医療・福祉 / IoT / 認知症ケア |
Outline of Annual Research Achievements |
本研究は,施設介護の理想原理とされているパーソンセンタードケア(PCC)を,認知症者の自宅で実践することを目的とし,一般家庭に導入可能な在宅PCC支援システムを実現する.提案システムを4つのサービス(状態センシングサービス,コンテキスト推定サービス,ケア推薦サービス,エージェントサービス)に分けて開発し,サービス指向アーキテクチャ(SOA)で垂直統合ことで研究目的を達成する.平成28年度は,4つのサービスの実現に必要な要素技術を開発した.具体的には,以下の通りである. (1) 状態センシングサービス:IoTと環境センサを収納し自律的に宅内の環境データを測定してクラウドに送信・蓄積する「自律センサボックス」を開発した.一般家庭4世帯に設置し,環境データの測定を開始している. (2)コンテキスト推定サービス:自律センサボックスから得られるデータを時系列分析し,宅内環境の変化を検知する手法を提案・実装した.変化が生じた際,何があったのかを入力してもらうアプリケーションも開発し,現在データ収集中である. (3)ケア推薦サービス:認知症者個人の「生活史」に基づいて,個人に適応した話題を自動的に生成する手法の開発を行った.後述するエージェントサービスと連携して,認知症者への日常的なカウンセリングを実現する枠組みの提案を行った. (4) エージェントサービス:ヴァーチャルエージェントを用いて,宅内の認知症者に個人適応した話題やコンテンツを提供するサービス「Virtual Care Giver」を試作し,介護施設において予備的な評価実験を行った.
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
2: Research has progressed on the whole more than it was originally planned.
Reason
平成28年度開始時に計画した4つのサービスの要素技術の開発に関して,それぞれ核となる技術を提案・実装し,最終的に目指すシステムのプロトタイプ版ともいえるシステムが構築できている.機能は限定的であるものの,実際の高齢者に試用してもらい,予備的な評価実験を実施することができている.これらの成果について,国際会議やジャーナル論文に成果発表を行っている.したがって,当初の計画通り進んでいると考えている.
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Strategy for Future Research Activity |
平成29年度は,これまでに開発した要素技術をより洗練し,実環境での試験運用に向けた研究開発を分担して進める. (1) 状態センシングサービス: 開発したセンサボックス(IoTと複数のセンサを小さな箱に収納した環境センシング装置)を高齢者の自宅に設置してもらい,状態センシングサービスの予備評価を実施する.取得したセンサ値が高齢者の宅内のどのような状況に対応するのかを評価するために,タブレットで行動を入力するアプリケーションを開発する.また,高齢者宅にノートPCを設置し,ヴァーチャル・エージェントが自律的に声掛けして認知症者の状態を能動的に把握する心理センシングも実施する. (2) コンテキスト推定サービス:設置したセンサボックスやエージェントが収集する時系列データと,被験者によって入力された実際の状況データを突き合わせ,宅内の認知症者の身体的・心的状況や環境の状況(宅内コンテキストと総称する)を推定する手法を研究・開発する.今年度は,直近のデータからリアルタイムな宅内コンテキストを推定するアルゴリズムを検討する. (3)ケア推薦サービス:推定された宅内コンテキストから,その時の環境・身体・心理状況に望ましいケアを推薦するサービスを開発する.平成28年度の成果である環境センシングデータの変化点検知手法を活用し,宅内環境や認知症者の状態に変化が起こった時に,適切なタイミングでケアを推薦できるようにする. (4)エージェントサービス:認知症者に提供する支援タスクの一部を,ソフトウェア・ロボットであるバーチャルエージェントが行うエージェントサービスを開発する.エージェントが認知症者個人に適応した応対ができるように,平成28年度に研究・開発を行った「Linked Open Data (LOD)と活用生活史を活用した個人向け話題生成技術」を利用する.
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Research Products
(24 results)