2017 Fiscal Year Annual Research Report
音環境理解に基づく音響計測環境の活性化支援の仕組みづくりに関する研究
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16H02911
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Research Institution | National Institute of Advanced Industrial Science and Technology |
Principal Investigator |
河本 満 国立研究開発法人産業技術総合研究所, 情報・人間工学領域, 主任研究員 (10300865)
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Co-Investigator(Kenkyū-buntansha) |
幸島 明男 国立研究開発法人産業技術総合研究所, 情報・人間工学領域, 主任研究員 (20357130)
車谷 浩一 国立研究開発法人産業技術総合研究所, 情報・人間工学領域, 上級主任研究員 (50356945)
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Project Period (FY) |
2016-04-01 – 2019-03-31
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Keywords | 音環境理解 / マイクロフォンアレイ / 環境音 / 音の可視化 / 音模様 |
Outline of Annual Research Achievements |
平成29年度は音環境となる二子玉川商店街にマイクロフォンアレイを設置し、設置したマイクロフォンアレイにより得られる環境音の解析を主な目的としていた。その目的に対して、まず、マイクロフォンアレイを二子玉川商店街の入り口にあたる個人商店の軒に設置した。このとこにより、二子玉川商店街の入口付近の音環境の解析が行えるようになり、設置したマイクロフォンアレイから得られる環境音で昨年度提案した音模様を使って解析を行った。この解析において、比較のために、二子玉川商店街とは少し離れた二子玉川駅付近の二子玉川ライズの音模様を用いた。その結果、音模様の色模様としては、黄緑色を基調とした似たような色模様を描くことが分かった。つまり、どちらの音環境も日常的な環境音は黄緑色を示すことが明らかとなった。しかしながら、黄緑色を示す音をさらに解析してみると、商店街の方は、車両の往来が多いことから、車両の走行音が日常的な音になっている、一方で、二子玉川ライズは近くに駅があるので、駅を行き交う人の雑踏音が日常的な音となっており、違いがあることも分かった。環境音の可視化、つまり、音模様を用いて、音環境の理解を試みる場合、色の意味も考慮に入れないといけないことを明らかにした。この研究成果は国内学会で発表した。 さらにもう1つの音環境の軍艦島に関して、老朽化した建物のモニタリングに活用できる音の可視化手法を提案した。提案手法においては、マイクロフォンアレイの位置を基準とした音源の上下方向に応じて、色が変化する手法で、建物のどこで、どのような音が発生したのかが3D的に把握できるところに今までにない特徴がある。この成果は論文にまとめ、国際学会に投稿中である。
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
2: Research has progressed on the whole more than it was originally planned.
Reason
今年度の主な目的であった音環境の理解を音の可視化手法で行うことに関して、異なった音環境の比較により行うことができた。また、その違いに対しても把握することができ、音環境における日常的な環境音に関する知見を得ることができた。最終目的である音環境における日常とは異なったことの「気づき」の把握に向けて研究を進めることができた。 また、音環境に合わせた音によるモニタリングの手法も提案することができたので、全体としては概ね順調に研究が進んでいると考える。
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Strategy for Future Research Activity |
音を色で表現する可視化手法を再度見直そうと考えている。これまで研究成果を発表してきて、音を色で表現する手法に関心は持ってもらっているが、より人間の感覚に近い変換方法を考えると用途が広がるのではという意見を多くの方から指摘されたので、その変換方法での可視化技術の構築を目指そうと考えている。その技術を用いて音環境に関する「気づき」が与えられるような方法を考え、地域活性化に係る仕組みづくりを目指す。 さらに、軍艦島の建物に関するモニタリングシステムに関して、これまでの研究で電源確保が重要な問題となることが分かったので、いかに省エネでシステムを動かすかを考慮して、持続的な音データの計測から建物の老朽化に関する「気づき」が与えられるようなモニタリングシステムの構築を目指す。
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