2020 Fiscal Year Annual Research Report
Iodine cycle in coastal environment- chemical speciation affected by decomposition of organic matter decomposition-
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16H02929
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Research Institution | Hokkaido University |
Principal Investigator |
大木 淳之 北海道大学, 水産科学研究院, 准教授 (70450252)
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Co-Investigator(Kenkyū-buntansha) |
野村 大樹 北海道大学, 水産科学研究院, 助教 (70550739)
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Project Period (FY) |
2016-04-01 – 2021-03-31
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Keywords | ヨウ素循環 / 珪藻 / ハロカーボン / 培養 / 堆積物 / ブルーム |
Outline of Annual Research Achievements |
北海道噴火湾では、珪藻ブルームから約1カ月後の有機物分解期に、底層水で有機ヨウ素ガス成分のヨードエタンとヨードメタンの濃度が急激に増えることを発見した。また、西部北極海のチャクチ海陸棚の底層水に高濃度の両ヨウ素ガスが蓄積していることも発見した。これらの海域には、珪藻由来の有機物が多量に堆積している。堆積物中での有機物分解が有機ヨウ素ガスの発生に関与している説を提唱し、それを裏付けるための海洋観測を実施すること、さらに、有機物分解のボトル実験より本仮説を検証することを目的とした。 北海道噴火湾での海洋観測を継続するとともに、海底堆積物を採取して堆積物中の有機ヨウ素ガスの濃度を年間時系列で得ることに成功した。また、北部ベーリング海の陸棚域でも海洋観測により海底堆積物を採取して有機ヨウ素ガスの濃度を測定した。いずれの堆積物でも堆積物表面付近で非常に高濃度の有機ヨウ素ガス(ヨードエタンとヨードメタン)が存在することが明かになった。噴火湾の時系列観測の結果、珪藻ブルームの後半から堆積物表面で有機ヨウ素ガスの濃度が高まることがわかった。噴火湾のブルーム時期にプランクトンネットで珪藻凝集物を採取して、冷暗所に密閉保管したところ、1週間後からヨードエタンとヨードメタンの濃度が高まることがわかった。さらに、その珪藻凝集物にヨウ化物イオンを添加すると、有機ヨウ素ガスの発生が促進されることも分かった。噴火湾の珪藻ブルームで優先する一種のタラシオシラ・ノルデンスキオルディの無菌培養株を大量に増殖させ、同様に冷暗所に保管すると有機ヨウ素ガスが発生すること、事前にヨウ化物イオンを添加しないと有機ヨウ素ガスが発生しないことが明かになった。 以上の観測と培養実験の結果より、沿岸の海底に堆積する珪藻凝集物から有機ヨウ素ガスが発生すること、その発生にはヨウ化物イオンが必要であると結論付けられた。
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Research Progress Status |
令和2年度が最終年度であるため、記入しない。
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Strategy for Future Research Activity |
令和2年度が最終年度であるため、記入しない。
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Research Products
(7 results)