2016 Fiscal Year Annual Research Report
Evaluation of human exposure and ecological risk based on comprehensive analysis and mass-balance approach for endocrine disrupting chemicals
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16H02963
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Research Institution | Ehime University |
Principal Investigator |
高橋 真 愛媛大学, 農学研究科, 准教授 (30370266)
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Co-Investigator(Kenkyū-buntansha) |
藤森 崇 京都大学, 地球環境学堂, 助教 (20583248)
野見山 桂 愛媛大学, 沿岸環境科学研究センター, 准教授 (30512686)
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Project Period (FY) |
2016-04-01 – 2019-03-31
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Keywords | 内分泌かく乱物質 / 残留性有機汚染物質 / ダイオキシン類 / 有機態ハロゲン / 多環芳香族化合物 / 毒性同定評価 / CALUX |
Outline of Annual Research Achievements |
日本およびベトナムの都市環境および廃棄物処理地域におけるヒトや陸上野生動物に対する残留性有機汚染物質(POPs)および内分泌かく乱物質(EDCs)様物質の曝露実態とその包括的な生態リスク評価を目的として、ダスト試料等の追加採取や対象試料の選定、既存データの整理を進めるとともに、関連物質の一斉・包括・網羅分析法の開発や改良に取り組んだ。具体的には、1)微量汚染物質(MPs)924種を一斉分析するためのGC-MS全自動同定・定量データベースシステムの最適化と試料前処理法の検討、2)燃焼イオンクロマトグラフを用いた総ハロゲン(TOX)測定条件の検討とX線吸収微細構造解析(XAFS)法による化学形態の測定、3)二次元ガスクロマトグラフ-飛行時間型質量分析装置(GCxGC-TOFMS)等を利用した有機ハロゲン化合物の網羅分析法の開発を行い、土壌・ダスト試料等の測定に適用した。その結果、1)のMPs一斉分析では、廃自動車の解体処理地域で採取したダスト試料から合計100種以上の化合物を検出し、とくにアルカン類や多環芳香族炭化水素(PAHs)、熱媒体・タイヤ添加剤等に利用される物質群の排出を確認した。2)のTOX-XAFS測定では、POPs等の認証値付標準物質を分析し、既知・未同定ハロゲン化合物のマスバランスや試料媒体ごとの化学形態の違いを明らかにした。さらに3)のGCxGC-TOFMSによる網羅分析の結果から、E-wasteの野焼き等が行われている土壌には、非意図的に生成されると考えられる多数の塩素化、臭素化およびミックスハロゲン化のPAHsが高濃度に含まれることが示された。以上の分析法開発および試料の測定結果により、実環境試料を対象としたPOPs・EDCs関連物質のマスバランス解析に適する手法論が確立されるとともに、今後の研究推進に資する貴重な基礎情報が得られた。
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
2: Research has progressed on the whole more than it was originally planned.
Reason
研究実績の概要で述べたように、本年度はPOPs・EDCs関連物質の一斉・包括・網羅分析法の開発や改良に取り組み、土壌やダストなどの実試料に適用して、今後の研究推進に必要な物質測定、マスバランス解析に適する手法論を確立することができた。ダスト、大気(PUF)、土壌、野生鳥類などの追加試料の採取も概ね順調であり、今後利用する予定の愛媛大学生物環境試料バンク(es-BANK)に保管されている試料の選別や既存分析データの整理も進んでいる。ゲル浸透クロマトグラフィーや硝酸銀シリカ等を用いた試料抽出液の精製・分画手法の最適化などにも着手し、多様な実試料の分析に向けた条件設定にも目途が付いている。また、in vitroバイオアッセイのCALUXについても、ダイオキシン(DR)、エストロゲン(ER)、アンドロゲン(AR)様の活性を検知するためのアッセイ系について、ダスト試料等を用いた条件最適化なども行っており、次年度の研究実施に向けた準備は整っている。
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Strategy for Future Research Activity |
前年度に引き続き、追加的な試料を採取するとともに、愛媛大学es-BANKの保管試料を活用し、各種住環境および野生動物試料の有機ハロゲン化合物の包括分析やPOPs・EDCsの一斉分析を進める。EOXについては、難溶性ハロゲンの推計や試料媒体に応じた分析法を確立し、実試料の測定を進める。得られたデータに基づいて、住環境および陸上生態系におけるPOPs汚染の実態やEOXにおける既知・未知化合物のマスバランスを解析・評価する。また土壌、ダスト、生物試料について認証値付標準試料の分析を進め、他の環境・生物試料と同様の手法で一斉・包括分析やマスバランス解析を実施し、確立した分析・解析手法についての定量性評価を進める。分析の結果、高濃度の有機ハロゲン化合物・EOX が検出された試料について、各種クロマトグラフィーによる分画実験を行って、各分画溶液試料中のEOXおよび既知化合物を測定する。得られたデータを分子サイズ・極性・官能基・構造等の物理化学的性質により整理し、詳細な既知・未知物質のマスバランスとその化学形態について解析・考察する。さらに、試料の粗抽出液や分画溶液を、DR-, ER-, AR-CALUXアッセイに供試し、試料中の総ダイオキシン様活性(Bio-TEQ)および性ホルモン撹乱活性(Bio-E2EQ/Flutamide EQ)を測定する。上記の化学分析、バイオアッセイの結果や既報のバイオアッセイ比活性データを統合して、主要な既知・未知物質(群)の毒性応答に対する寄与を解析する(毒性同定評価の着手)。
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Research Products
(7 results)
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[Journal Article] PCBs, PBDEs and dioxin-related compounds in floor dust from an informal end-of-life vehicle recycling site in northern Vietnam: contamination levels and implications for human exposure.2016
Author(s)
(1)Takahashi, S., Tue, N.M., Takayanagi, C., Tuyen, L.H., Suzuki, G., Matsukami, H., Viet, P.H., Kunisue, T., Tanabe, S.
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Journal Title
Journal of Material Cycles and Waste Management
Volume: 印刷中
Pages: -
DOI
Peer Reviewed / Open Access / Int'l Joint Research / Acknowledgement Compliant
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[Journal Article] Soil contamination by halogenated polycyclic aromatic hydrocarbons from open burning of e-waste in Agbogbloshie (Accra, Ghana)2016
Author(s)
(2)Tue, N. M., Goto, A., Takahashi, S., Itai, T., Asante, K. A., Nomiyama, K., Tanabe, S., Kunisue, T.
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Journal Title
Journal of Material Cycles and Waste Management
Volume: 印刷中
Pages: -
DOI
Peer Reviewed / Open Access / Int'l Joint Research / Acknowledgement Compliant
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[Presentation] PCBs and BFRs in dust and human blood samples from end of life vehicle (ELV) recycling sites in northern Vietnam: comparison with E-waste recycling sites2016
Author(s)
Takahashi, S., Nose, K., Miyai, R., Takayanagi, C., Tue, N. M., Tuyen, L. H., Viet, P. H., Sakai, S.
Organizer
The 9th PCB workshop
Place of Presentation
神戸国際会議場(兵庫県・神戸市)
Year and Date
2016-10-09 – 2016-10-13
Int'l Joint Research
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