2016 Fiscal Year Annual Research Report
下水処理場における生活由来化学物質の発生源単位の把握とその低減化技術に関する研究
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16H02964
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Research Institution | The University of Kitakyushu |
Principal Investigator |
門上 希和夫 北九州市立大学, 環境技術研究所, 教授 (60433398)
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Co-Investigator(Kenkyū-buntansha) |
永洞 真一郎 地方独立行政法人北海道立総合研究機構, 環境・地質研究本部環境科学研究センター, 主査 (00442624)
田原 るり子 地方独立行政法人北海道立総合研究機構, 環境・地質研究本部環境科学研究センター, 主査 (30442627)
宮脇 崇 福岡県保健環境研究所, その他部局等, 研究員 (70346691)
高木 総吉 大阪府立公衆衛生研究所, 衛生化学部, 主任研究員 (80332451)
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Project Period (FY) |
2016-04-01 – 2019-03-31
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Keywords | 化学物質 / GC/MS / LC-QTOF/MS / AIQS / PPCPs / 発生原単位 |
Outline of Annual Research Achievements |
本研究ではGC/MSとLC/QTOF-MS用の2種類の自動同定・定量データベースシステム(AIQS)を検出系として,全国5都市の下水処理場の流入水・放流水に含まれる化学物質(1500種)を調査し,現在の日本において1人が1日当たりに排出する化学物質量を流入水濃度と流入水量から求め,また放流水濃度から水環境に排出される量を求める。 本年度は,まず要調査物質を文献調査により選定後,それらを購入してGC/MSで測定可能な有機リン酸エステルや香料など23物質を測定し,既存のGC/MS用AIQSに追加登録した(登録物質972物質)。また,新たに導入したLC-QTOF-MSでは,LCとQTOF-MSの測定条件を決定して283農薬と医薬品・パーソナルケアー物質(PPCPs)64物質(計347物質)を測定し,それらの保持時間,プレカーサーイオンおよびプロダクトイオンのマススペクトルを得た。続いて,測定データを用いて検量線ファイルを作成した。AIQSは試料測定時に検量線を作成する従来法とは異なり,数百種以上の化学物質を一度に測定するため,一度作成した検量線を長期間使用する。そこで,開発したLC/QTOF-MS用AIQSの定量性能の信頼性を確認するために,繰り返し測定の再現性および時期やカラムを変えて長期にわたる室内再現性を検討した。 年度後半には,これまでの検討に基づき下水処理場水向けの分析法を開発し,分析法で使用する内標準やサロゲート物質などを調製して共同研究者に配布した。次に,予備調査として,全国4都市の4下水処理場の流入水と放流水を開発した分析法を用いて分析し,GC/MS用AIQSを用いて対象物質のデータ解析を行い,試料採取から分析,データ解析までの問題点抽出および検出物質の地域特性などを検討した。
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
2: Research has progressed on the whole more than it was originally planned.
Reason
年度前半に文献調査を行ってAIQSに追加登録する物質を選定し,それらの標準品を購入して検量線作成用の標準溶液を調製し,GC/MSで測定して有機リン酸エステルや香料など23物質をGC/MS用AIQSに登録した。また,新たに導入したLC-QTOF-MSは,操作法を基礎から習得しつつ,1)これまでの検討を基にLC-QTOF-MS測定条件を決定し,2)購入した283農薬と医薬品・パーソナルケアー物質(PPCPs)64物質(計347物質)の検量線標準液を調製し,3)それらを順次測定して同定後,保持時間,プラカーサーイオン,プロダクトイオンを確認して2種の検量線(プラカーサーイオンとプロダクトイオン)を作成した。また,物質同定に有効なプライベートマススペクトルライブラリーに測定マススペクトルを登録した。4)また,開発したLC/QTOF-MS用AIQSの定量性能の長期間の信頼性を確認するために,繰り返し測定の再現性および時期やカラムを変えて長期にわたる室内再現性を検討し,定量性能が検討期間内で安定であることを確認した。 予備調査に向けて,下水処理場水向けの分析法を開発し,分析法で使用する内標準やサロゲート物質などを調製して共同研究者に配布した。その後,全国4都市の4下水処理場の流入水と放流水を分析し,GC/MS用AIQSを用いて対象物質を同定・定量した。この作業を通して,試料採取から分析,データ解析までの問題点抽出および検出物質の地域特性などを予備検討した。 以上のように,本研究に必要な「分析法の確立」および「2種のAIQSの構築および性能評価」をほぼ完了したことから,おおむね順調に進展していると評価できる。
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Strategy for Future Research Activity |
平成29年度に実施する内容は,以下の4課題である。1)GC/MSおよびLC/QTOF-MSのAIQSへの追加登録。購入済の調査候補物質の内,平成28年度末までにAIQSに未登録の物質の標準液を調製後,GC/MSまたはLC-QTOF-MSで測定し,いずれかに検量線を登録する。特に,LC/QTOF-MS用AIQSにはPPCPs約200物質を登録する。2)その後,追加登録したAIQSを用いて予備調査試料のデータ解析を行い,全試料の検出物質と濃度を求めて1人が1日当たりに排出する化学物質量を流入水濃度から,また水環境に排出される量を放流水濃度からそれぞれ求め,地域毎の排出量や地域特性などを検討する。また,分析法やデータ解析などで問題点などが見つかれば,解決策を検討する。3)平成29年の夏季から年度内に3回,全国5都市,各都市で2下水処理場以上を対象として本調査を実施する。4)本研究に係わる口頭発表および論文投稿として,①本研究で使用した分析法の開発に関する論文投稿,②LC-QTOF-MSのAIQS開発に関する口頭発表および論文投稿,③予備調査結果の口頭発表を行う。
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[Journal Article] Small scale direct potable reuse (DPR) project for a remote area2017
Author(s)
Jianhua Zhang, Mikel Duke, Kathy Northcott, Michael Packer, Mayumi, Allinson, Graeme Allinson, Kiwao Kadokami, Jace Tan, Sebastian Allard, Jean-Philippe Croue, Adrian Knight, Peter Scales, Stephen Gray
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Journal Title
Water
Volume: 9
Pages: 1-25
DOI
Peer Reviewed / Open Access / Int'l Joint Research
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