2016 Fiscal Year Annual Research Report
ヒ素可溶化細菌群とヒ素高蓄積植物を用いたハイブリッド土壌浄化システムの開発
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16H02979
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Research Institution | National Institute for Environmental Studies |
Principal Investigator |
山村 茂樹 国立研究開発法人国立環境研究所, 地域環境研究センター, 主任研究員 (90414391)
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Co-Investigator(Kenkyū-buntansha) |
宮内 啓介 東北学院大学, 工学部, 教授 (20324014)
天知 誠吾 千葉大学, 大学院園芸学研究科, 教授 (80323393)
堀 知行 国立研究開発法人産業技術総合研究所, 環境管理研究部門, 主任研究員 (20509533)
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Project Period (FY) |
2016-04-01 – 2019-03-31
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Keywords | ヒ酸塩還元細菌 / Fe(III)還元細菌 / モエジマシダ / バイオレメディエーション |
Outline of Annual Research Achievements |
ヒ素可溶化細菌群に及ぼす電子メディエーターの影響の評価並びに可溶化に関わる主要細菌群の特定のために、Fe(III)及びAl水酸化物を用いたヒ素可溶化試験を行った。Fe(III)水酸化物を用いた実験では、乳酸塩存在下で、リボフラビンによってヒ素可溶化が大幅に促進され、溶液中のFe(II)濃度も同様の増加傾向を示した。一方、乳酸塩を添加しなかった場合は、リボフラビンによるヒ素溶出の促進効果は確認されなかった。これらの結果から、乳酸利用性のFe(III)還元細菌が、間接的ヒ素可溶化に関与していると考えられた。Al水酸化物を用いた同様の実験では、乳酸塩添加により大幅なヒ素濃度の増加が見られたものの、リボフラビンによる促進は見られなかった。従ってそれらの一部は、ヒ酸塩還元も担っている可能性が示唆された。微生物群集構造解析の結果から、Negativicutes綱の未知の細菌種がFe(III)とヒ酸塩双方の還元を、Clostridia綱のDesulfitobacterium属に近縁な細菌種が酸塩の還元を担っていると推察された。 モエジマシダ水耕栽培系を用いたヒ素除去プロセスの開発のため、本年度は実験室内で条件検討を行った。その結果、モエジマシダの根茎が水に浸かると生長が大きく阻害されることが明らかとなった。また、水耕栽培時にはエアレーションは必要とせず、栄養源に関しても通常植物の培養に用いるHogland溶液を5倍希釈したものを週一回程度、根茎に直接与えるのみで十分生育することが明らかとなった。4ヶ月の無曝気水耕栽培で、根の長さは50cmを越えた。生育温度については、10℃では生育可能であるが、5℃では生育できないことも明らかとなった。また、ヒ素を加えた水で水耕栽培して部位別の濃度を測定した結果、羽片と根茎はそれぞれ根の100倍と10倍の濃度のヒ素を蓄積していた。
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
2: Research has progressed on the whole more than it was originally planned.
Reason
リボフラビンによって、広範な土壌中のヒ素可溶化細菌群の活性化が可能であることを示すとともに、ヒ素可溶化に関わる主要細菌群を特定した。また、モエジマシダの水耕栽培条件を確立するとともに、水中ヒ素除去特性を明らかとした。H28年度の当初目標をほぼ達成しており、順調に進展していると判断する。
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Strategy for Future Research Activity |
H28年度に得られた結果をもとに、ラボスケールでのヒ素抽出プロセス並びに水中ヒ素除去プロセスを構築する予定である。それぞれのプロセスの最適化を図り、両プロセスを統合した土壌浄化システム設計のための基礎的知見を獲得する。関連研究者との積極的な意見交換から最新の知見を取り入れ、新たな研究展開にも柔軟に対応できるよう推進する。
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