2017 Fiscal Year Annual Research Report
線虫を用いた低線量汚染バイオマスの嫌気発酵分解プロセスの除染技術化
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16H02982
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Research Institution | Osaka Prefecture University |
Principal Investigator |
徳本 勇人 大阪府立大学, 理学(系)研究科(研究院), 講師 (70405348)
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Co-Investigator(Kenkyū-buntansha) |
星 英之 大阪府立大学, 人文社会システム科学研究科, 准教授 (30301188)
大江 真道 大阪府立大学, 生命環境科学研究科, 准教授 (60244662)
倉橋 健介 大阪府立大学工業高等専門学校, その他部局等, 講師 (60516821)
吉原 静恵 大阪府立大学, 理学(系)研究科(研究院), 助教 (20382236)
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Project Period (FY) |
2016-04-01 – 2019-03-31
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Keywords | バイオレメディエーション |
Outline of Annual Research Achievements |
①消化発酵汚泥中での線虫の培養:消化発酵汚泥を1 mL採取後15000 rpmで5分間遠心分離を行い上清の液相を除去した。残った固相を純水で2回洗浄し、液相を除去して固相のみを線虫5頭に餌として与え、シャーレ上にて20度で静置培養を行った。その結果、線虫の生息数は培養8日目に6.5万頭で最大となった。さらに、内臓が確認できるまで成長した成虫は、培養5日目で4.6万頭に達した。 ②除染土壌を用いた作物栽培法の基礎検討:試験モデルとして水稲品種‘コシヒカリ’(イネ)を用いたCsClのイネへの影響試験を行ったところ、CsClはイネの生育を阻害することが明らかになった。対照と比較して、特にイネの生存率と茎数、葉の長さが著しく低下した。一方で、葉の数への影響が軽微であったことから、CsClは葉の充実度に影響すると考えられる。 ③次世代シークエンサーを駆使した線虫回収プロセスの定量解析:シークエンスにより得られたRead数に増幅率及び希釈倍率を乗ずることで、未知検体中に含まれる線虫のDNA量及び個体数の推算方法を検討した。含有線虫数の異なる検体から抽出したDNA量と各検体のRead数から推算したDNA量を比較すると、測定値と推算値がほぼ一致したため、NGSを駆使し線虫を定量できることが明らかになった。 ④線虫への137Csの移行量測定とプロセス評価:137Csを吸収させた微生物を線虫に捕食させたところ、微生物から線虫体内へ0.43%の137Csの移行が確認できた。そのため、微生物と線虫を利用して、137Csの回収が可能であると考えられる。今後は、初期線虫数と連続プロセスの繰り返し回数を検討し、線虫の回収量を増大させることで、本プロセスによる137Cs回収量の向上を図る。
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
2: Research has progressed on the whole more than it was originally planned.
Reason
これまでに、カリウムが豊富に存在する土壌中においても、137Csを高き吸収する可能性が高い微生物として、Tepidibacter mesophlusを見出し、線虫においては、そのライフサイクルについて、基礎検討が終了「している。現在は、微生物と線虫を用いた、土壌中のCs回収プロセスについて、実証化の基礎検討に入った。また、Cs除去土壌に対するモデル実験系の構築も終わっており、こちらも実証化検討を開始する予定である。以上から、本課題におけるすべての検討課題について、ほぼ計画通りの進捗状況であり、本研究は概ね順調に進展していると考えている。
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Strategy for Future Research Activity |
本研究は、CsClを用いてプロセス評価の網羅的解析を行い、137Csを用いた実証試験で完結する構想である。これまでに、基礎検討はCsCl、137Cs共に、概ね完了しており、各要素プロセスの連結と、高効率化検証を実施する予定である。
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