2016 Fiscal Year Annual Research Report
低環境負荷光源を用いた感光性樹脂の作製とそれへの機能付与
Project/Area Number |
16H02986
|
Research Institution | Osaka Prefecture University |
Principal Investigator |
岡村 晴之 大阪府立大学, 工学(系)研究科(研究院), 准教授 (10316010)
|
Project Period (FY) |
2016-04-01 – 2020-03-31
|
Keywords | グリーンプロダクション / 低環境負荷 / LED / 光硬化樹脂 / 光分解 / 高屈折率材料 |
Outline of Annual Research Achievements |
本研究課題「低環境負荷光源を用いた感光性樹脂の作製とそれへの機能付与」は、感光性樹脂作成時に環境負荷の少ないLED光源を駆使することにより現状の光硬化樹脂を上回る性能を有する光硬化樹脂を低環境負荷で作成することを目標にしている。平成28年度は、新規光源である深紫外LED光源を用いた光硬化性樹脂の作成において、光重合の基礎的検討を行った。アクリル樹脂において、感光性に影響をおよぼすものは樹脂構造、感光剤、雰囲気、樹脂の厚さである。このうち、樹脂構造において、官能基数の異なる数種類の汎用多官能アクリレートモノマーを選定し、感光剤、雰囲気、樹脂の厚さの観点から検討した。その結果、従来知られていたがほとんど使用されていなかった光開始剤が特異的に深紫外LED光源を用いた光硬化系に有用であることを見出した。また、405nmの紫色LEDを用いた光硬化系において、低圧水銀灯の254nm光と組み合わせることにより、高屈折率かつ屈折率制御が可能な光硬化樹脂の作成にも成功した。それらの成果はすでに国内、国際学会で発表済みである。また、光架橋・光分解を行うことにより、従来では構造の決定が困難であった光硬化樹脂中におけるモノマーの重合連鎖長を決定することに成功した。その成果を国内外の学会で発表し、積極的な成果報告を行う予定である。それらの成果は原著論文、総説、国内外の学会発表により成果報告を行った。日本語での著書や解説の執筆依頼もあり、精力的に成果報告を行う予定である。
|
Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
2: Research has progressed on the whole more than it was originally planned.
Reason
本研究の中心となる深紫外LEDを用いた光重合・光架橋系において、国内から招待講演1件が確定しており、その研究と関連する光開始剤について国外の招待講演も1件確定している。成果が国内のみならず、海外からも注目されているためであると考える。
|
Strategy for Future Research Activity |
平成28年度の研究を発展させる。複数LED光源を用いた光硬化樹脂の作製とその性質の解明においては、樹脂の対象をアクリル樹脂からエポキシ樹脂などへ、光源は可視光を含む複数波長へと展開する。複数LED光源を用いた光硬化樹脂の機能性材料への応用において、作成した樹脂モールドやスクリーン版を用いた印刷実験を行う。リワーク型樹脂の開発においても、樹脂構造や架橋・分解条件の検討を引き続き行う。深紫外LED光源を用いた光硬化性樹脂の成果を発展させる。今まで得られた知見を総括し、機能性材料として使用するにあたり必要不可欠な因子について抽出することにより、次の材料設計指針へと発展させる。
|
Research Products
(12 results)