2016 Fiscal Year Annual Research Report
連続的なバイオマス変換を可能にする流通式触媒反応システムの開発
Project/Area Number |
16H03003
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Research Institution | National Institute of Advanced Industrial Science and Technology |
Principal Investigator |
三村 直樹 国立研究開発法人産業技術総合研究所, 化学プロセス研究部門, 主任研究員 (50358115)
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Co-Investigator(Kenkyū-buntansha) |
増田 善雄 国立研究開発法人産業技術総合研究所, 化学プロセス研究部門(兼務), 連携主幹 (10358004)
佐藤 修 国立研究開発法人産業技術総合研究所, 化学プロセス研究部門, 主任研究員 (20357148)
山口 有朋 国立研究開発法人産業技術総合研究所, 化学プロセス研究部門(兼務), 研究グループ付 (90339119)
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Project Period (FY) |
2016-04-01 – 2019-03-31
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Keywords | 液相流通式触媒反応 / バイオマス有効利用 / 貴金属触媒 |
Outline of Annual Research Achievements |
大量処理・大量合成とスケールアップが容易な「液相流通式触媒反応」によるバイオマス変換による有用物質の合成を目的として研究を行った。 (1)流通式装置の設計と試作 高圧ポンプ、ステンレス製反応管、背圧弁の組み合わせによる2MPaの圧力をかけることが可能な流通式反応器を試作し、安全な運用ができることを確認している。反応温度は最高で180℃が可能であり、バッチ式反応による検討で判明している適した加熱温度に近い条件で反応ができる。 (2)流通式装置に適した固体触媒の開発 液相流通式反応装置には貴金属ナノ粒子を担持した固体触媒を充填して、検討対象のバイオマス変換反応として、バイオディーゼル燃料の製造時に副生するバイオマス由来の原料であるグリセリンの分子状酸素による酸化反応に取り組んだ。触媒は粒子状の酸化アルミニウムに金や白金をナノ粒子化して担持した固体触媒であり、この触媒を用いた場合には、液やガスの流れが妨げられることがなく安定した反応を行うことに成功した。この反応においては水の沸点以下の加熱で十分な結果が得られるので、末端を大気圧下に開放して行った。予算使用計画に従って購入した紫外可視分光光度計を用いて金のナノ粒子を担持した触媒を分析して、選択性の高い触媒と、副反応が進行しやすく選択率があまり高くない触媒の差がスペクトル的に明らかになった。 (3)各種バイオマス変換反応の検討 上述の、グリセリン酸化反応用触媒は水酸基やアルデヒド基をカルボン酸に変換する作用があるので、多種多様なバイオマス由来原料を出発物質とするジカルボン酸類の製造への展開が期待できるものである。
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
2: Research has progressed on the whole more than it was originally planned.
Reason
グリセリンの酸化に関しては、金を主な活性貴金属として用いる触媒について重点的に調査した。グリセリン酸とタルトロン酸が主生成物である触媒と、乳酸とグリセリン酸が主生成物である触媒が得られて、それぞれ有用な物質であるので、需要に応じた反応が実現できる見込みである。さらに実験室レベルでの検討段階では目立った活性劣化がない優れた特性を示している。また、このグリセリン酸化反応用触媒は水酸基やアルデヒド基をカルボン酸に変換する作用があるので、多種多様な原料を用いてカルボン酸やジカルボン酸類の製造にも展開でき、発展性のある触媒である。
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Strategy for Future Research Activity |
グリセリンの反応では主に反応器出口の末端を大気圧下に開放して酸化反応を行ってきたが、排圧弁を用いて加圧条件での反応について重点的に調査を行う計画である。また、高性能な微粉末触媒を液相流通式反応で用いるための、前処理・加工について検討を行い微粉末の流出を防止する触媒粒子構造の開発を行うことで、多種多様なバイオマス原料を用いる触媒反応が実現できるように展開する。 予算を用いて購入した紫外可視分光光度計を活用して、触媒の分析を進めるとともに、高分解能分析電子顕微鏡などを用いるナノ構造の直接観察を行い、触媒の構造を明らかにする。 知的財産権の確保と論文数の増加が重要なので、2016年度に得られた成果を基にして2017年度には特許出願と論文投稿を予定している。
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Research Products
(6 results)