2016 Fiscal Year Annual Research Report
光・温度環境が閉経後女性の心身の健康に与える影響とそのメカニズムの解明
Project/Area Number |
16H03026
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Research Institution | Nara Women's University |
Principal Investigator |
鷹股 亮 奈良女子大学, 生活環境科学系, 教授 (00264755)
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Co-Investigator(Kenkyū-buntansha) |
森本 恵子 奈良女子大学, 生活環境科学系, 教授 (30220081)
杉本 直俊 金沢大学, 医学系, 准教授 (80272954)
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Project Period (FY) |
2016-04-01 – 2020-03-31
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Keywords | エストロゲン / 光環境 / 摂食行動 / うつ様行動 / 不安様行動 |
Outline of Annual Research Achievements |
本年度は、エストロゲンと光環境が摂食行動、自発行動に及ぼす影響、うつ様行動、不安様行動に及ぼす影響を明らかにするため、照度と光の色の色について検討した。まずは、照度の影響を明らかにするために、ラットを明期の照度の異なる3条件で飼育した(通常(250 lx)、低照度(10 lx)、高照度(800 lx)。エストロゲン欠乏ラットの摂食量は、低照度、通常照度環境下でエストロゲン補充ラットよりも多かったが、高照度環境では摂食量が減少し、エストロゲン補充ラットの摂食量と差がなくなった。エストロゲン欠乏ラットのSCNにおける明期のc-Fos発現は、低照度、通常照度環境ではエストロゲン補充ラットに比べて少なかったが、高照度環境下では有意に増加した。エストロゲン補充ラットでは、10 lx環境でも明期のSCNにおけるc-Fos発現が高く、光環境の影響を受けなかった。以上より、エストロゲンは、光感受性を高めて、低照度においても明期の摂食抑制が起こることがわかった。更に、エストロゲン欠乏ラットでも高照度環境に曝露することにより、過食が抑制される事が明らかになった。更に青色の成分を多く含むLED照明を用いると、エストロゲン欠乏群でも300 lxで摂食抑制が起こる事が明らかになった。 一方、うつ様行動、不安様行動に対してはエストロゲンの影響が大きかったが、光環境については、更に検討が必要である。 本年度は、更に温度環境が摂食行動、睡眠・活動に及ぼす影響を明らかにするために、オスラットを用いて、実験条件の設定を行った。その結果、低温環境(16°C)で、通常環境(23°C)に比べて、摂食量、活動量の増加がみられ、睡眠の減少が見られた。更に、摂食亢進のメカニズムが明期と暗期で異なる可能性が示された。
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
3: Progress in research has been slightly delayed.
Reason
本年度は、光環境の照度と照明の色について検討したが、光パルスの影響についての実験が出来なかった。これは、主に実験設備が原因である。また、うつ様行動、不安様行動についても、測定法を確立するのに時間がかかり充分なデータが得られなかった。 また、SCNでのc-Fos発現の解析は、これまで使用していた抗体と同様のデータが得られなくなり、その原因の究明に時間がかかったため、予定よりも遅れている。
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Strategy for Future Research Activity |
本年度も光環境がエストロゲン欠乏ラットの行動・生理機能に及ぼす影響について引き続き検討を進めるととも温度環境の変化によって引き起こされる摂食行動や活動のリズムの変化に及ぼすエストロゲンの影響について明らかにするための基礎実験を行い、エストロゲンによる摂食行動、うつ様行動の変化に及ぼす光・温度環境の影響とそのメカニズムを明らかにしていく。 昨年度は予備実験で終わった光パルス刺激実験を行うことにより、エストロゲンによる光に対する反応性の変化を明らかにするとともに、昨年度の実験結果を踏まえ、エストロゲンと光環境が各種行動に及ぼす影響のメカニズムを明らかにする実験を行っていく。 更に、低温環境が摂食行動、睡眠・覚醒、うつ様行動に及ぼす影響を明らかにするための実験を継続する。 本年度に以上の実験を行うことにより、昨年度の実験の遅れを取り戻せると考える。
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