2016 Fiscal Year Annual Research Report
高齢者の生活およびQOLに及ぼす夏期と冬期の住環境の影響について
Project/Area Number |
16H03027
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Research Institution | Nara Women's University |
Principal Investigator |
久保 博子 奈良女子大学, 生活環境科学系, 教授 (90186437)
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Co-Investigator(Kenkyū-buntansha) |
東 実千代 畿央大学, 健康科学部, 教授 (10314527)
佐々 尚美 武庫川女子大学, 生活環境学部, 准教授 (50379525)
磯田 則生 奈良女子大学, その他部局等, 名誉教授 (60016871)
星野 聡子 奈良女子大学, 生活環境科学系, 准教授 (80314524)
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Project Period (FY) |
2016-04-01 – 2019-03-31
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Keywords | 高齢者 / 生活環境 / 室内温湿度 / 生活行動 / 季節差 / QOL / 活動量 / 睡眠環境 |
Outline of Annual Research Achievements |
年間をとおして実際の生活環境と居住者の生活行動、活動量、体力、生理的心理的影響などに関する実態調査により、生活者、特に生活弱者といえる高齢者の生活に生活環境がどの様な影響を与えているか解析し、高齢者にとって健康で快適で、生き生きとした生活を送るための環境について検討する事を目的とし実測調査をおこなった。 平成28年度は、採択後研究準備および倫理申請を行いつつ、当初の予定では、調査準備や予備実測としてアンケート調査を行う事を計画していたが、これまでに協力して頂いていた実績のある高齢者が協力して頂けたため、先に、夏期、秋期、冬期、平成29年に向けて季節に伴う生活環境と生活行動の変化を3ヶ月おきに調査した。協力者として男女約10名を対象とし、調査内容としては、①当初の予定どおり、生活環境における居間と寝室の温湿度を小型温湿度ロガーを設置し、約2週間計測した。冬期にはさらにトイレの温湿度と寝床内の温湿度も計測した。②生活行動の計測として、多機能万歩を身につけて生活してもらい、2週間連続計測した。③生活行動内容調査および血圧や体温、温冷感など生理量、心理量の調査を3日間計測した。④来学時にQOL評価をSF-36で回答を得て計測をおこない、重心動揺、体脂肪・筋肉量、骨密度、握力等筋力等を計測した。⑤その他、生活に関するアンケート調査を行った。⑥高齢者女性を対象として、階段昇降時の行動や視線などを計測し、転倒予防のために無意識に行っている行動を計測した。青年女性との比較検討で、足元に視線を集中させていることを確認した。
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
2: Research has progressed on the whole more than it was originally planned.
Reason
当初、アンケート調査を当初に行う予定であったが、実測調査を先に始めた。これは、これまで生活実測調査にご協力頂いた高齢者の方々とのコンタクトがとれ、これらの方が、生活行動などを記録するという大変手間のかかる調査に、積極的に協力して頂け、記載が比較的詳細で正確であることから、計測を先に行った。 今回より、重心動揺や、筋力調査、2週間という比較的長期間の生活調査など、より詳細に調査をする事が出来た。8月、11月、2月と3ヶ月ごとに正確に調査をおこない、男女各8~10名の高齢者に調査協力頂いた。平成29年度の5月を合わせ、1年間の環境と生活行動が調査できることになり、これらの結果から以下の点に焦点を当て、今後解析する予定である。
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Strategy for Future Research Activity |
(1)これまでに協力頂いている高齢者は、ボランティアなどの社会活動や、散歩やジョギングなど体力維持の活動などを積極的に行っている、比較的元気な高齢者である。このような、比較的体力があり積極的に社会活動等を行っている高齢者だけでなく、より多くの高齢者に協力を依頼し、より多くのデータを収集する事に、今年度注力する。このため、生駒市で様々地域包括ケアの施策対象となっている高齢者を対象して協力を要請している。他の地区でも、協力者を増やして実施する事を計画している。体力や気力などが異なる為、これらの協力者は詳細なアンケートなどが出来ない可能性もあるが、計測項目などに関しては、協力対象者の状況に応じて選定する。 (2)高齢者群の比較対象として、比較的自由な生活をしている青年群(大学生)で、同様の調査をして、室内環境と生活行動やQOL、心身の健康度などについて比較検討する。平成28年の高齢者対象の人数に合わせ、男女各10名を予定している。 (3)高齢者の環境適応能力を計測する事を目的として、実験室で皮膚温や心拍数、温冷感などを計測する生理心理量を計測する実験を行う。また、温冷覚閾値を計測し、皮膚表面での温冷感覚の衰えについても計測する。 (4)これらの結果をもとに、以下の点について検討を行う。①生活環境の実態と環境形成に及ぼすさまざまな要因の分析。 ②生活環境や社会的ケアが高齢者の健康や生活行動、QOL に及ぼす影響。③高齢者が生き生きと生活出来る生活環境の改善のための対策とその効果の考察
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