2017 Fiscal Year Annual Research Report
Framework of Regional Science Community Formation-Oriented Science Communication
Project/Area Number |
16H03066
|
Research Institution | Prefectural University of Kumamoto |
Principal Investigator |
飯村 伊智郎 熊本県立大学, 総合管理学部, 教授 (50347697)
|
Co-Investigator(Kenkyū-buntansha) |
小薗 和剛 熊本県立大学, 総合管理学部, 准教授 (30381015)
石橋 賢 熊本県立大学, 総合管理学部, 講師 (70749118)
|
Project Period (FY) |
2016-04-01 – 2021-03-31
|
Keywords | 科学教育 / 科学コミュニケーション / 科学コミュニティ / プログラミング教育 / ワークショップ |
Outline of Annual Research Achievements |
【具体的内容】平成29年度は,前年度から実施してきたパイロット実験を8月まで実施した.具体的には,前年度3月に実施したプログラミング・ワークショップに参加した高校生(全24名,所属高校は全3校)に,クラウド上に構築した科学コミュニティを利用しながら,Monacaを用いた継続的なプログラミング学習に取り組んでもらうものである. パイロット実験後は,ワークショップおよび科学コミュニティの問題点や改善点を整理し,それらを本実験の設計にフィードバックした.その後,本実験として8月から11月にかけて,熊本県の4地域(宇城地域・県南地域(八代地域を含む)・天草地域・熊本市)でプログラミング・ワークショップを実施した.本ワークショップは,本研究の一環で制作した教材(テキスト)をもとに実施した.ワークショップ終了後は,参加した高校生(全50名,所属高校は全11校)に,クラウド上の科学コミュニティを利用しながら,Monacaを用いた継続的なプログラミング学習に取り組んでもらった.また,継続的なプログラミング学習の成果発表の場として熊本県立大学アプリアワードを開催した.本アワードには10名以上の高校生がエントリーした.そのうち実験の参加者は5名であり,実験に参加していない友人を誘ってエントリーするチームも見られた.なお,ここで言う実験とは,プログラミング・ワークショップと,クラウド上の科学コミュニティを利用した継続的なプログラミング学習を指す. 【意義,重要性等】本年度は出張形式でのワークショップの実施や,熊本県立大学アプリアワードの開催など,初の取り組みが多かったが,次年度以降に一連の取り組みを実施する際のノウハウを獲得することができた.また,ワークショップの内容や科学コミュニティの仕様や運営方法等についても,問題点や改善点が明らかとなった.これらは今後の研究の発展において意義のあることである.
|
Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
2: Research has progressed on the whole more than it was originally planned.
Reason
平成29年3月から8月にかけて実施したパイロット実験を通して,ワークショップの内容や科学コミュニティの仕様や運営方法等,それぞれの基本的な枠組みを構築するとともに,問題点や改善点を明らかにすることができた. また,平成29年8月から平成30年2月にかけて実施した本実験では,ワークショップや科学コミュニティの運営については,パイロット実験で明らかになった問題点や改善点をフィードバックして行い,さらに熊本県立大学アプリアワードを開催した.これらの,①ワークショップの開催,②科学コミュニティの運営と継続的なプログラミング学習の支援,③成果発表の場としてのコンテストの開催という一連の取り組みは,本研究が最終的に明らかにしようとする「地域における科学コミュニティ形成を指向した科学コミュニケーションのフレームワーク」の土台となる枠組みであると考えている.また,成果に関しては,平成29年度内に国内学会(1件)において発表できた.以上のことから,おおむね順調に進展していると判断した.
|
Strategy for Future Research Activity |
次年度(平成30年度)は,まず前年度に得られた成果を振り返り,ワークショップ等の具体的な内容や評価手法の改善,クラウド上の科学コミュニティの改善を行う.その後,熊本県内の7地域(県北地域,阿蘇地域,上益城地域,宇城地域,天草地域,県南地域(八代地域を含む),熊本市)のうち,県北地域,阿蘇地域,上益城地域,熊本市を対象に,ワークショップを実施し科学コミュニケーションの観点からその有効性を評価する.4地域でのワークショップ実施日は8月から9月の間を予定している.ワークショップを実施後は,参加者の距離的な制約を超えた科学コミュニケーションの派生や共助を伴う継続的な学びの観点で,形成した科学コミュニティの効果を評価・分析する. また,ワークショップ参加者の継続的な学習の観点では,サイバー空間のみでの関わりだけではその動機付けが不十分であることが,これまでの取り組みにより明らかになった.そのため,次年度は対面による動機付けや,さらに踏み込んだ内容を取り扱うワークショップ等も並行して実施する予定である.これは当初計画にはないが,本研究の目的達成には必要であると判断し実施するものである. さらに,ワークショップ参加後にクラウド上の科学コミュニティを利用しながらプログラミング学習に取り組んだ成果物(アプリ)に関するコンテスト「熊本県立大学アプリアワード」を平成29年度に引き続き開催する.
|