2019 Fiscal Year Annual Research Report
Framework of Regional Science Community Formation-Oriented Science Communication
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16H03066
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Research Institution | Prefectural University of Kumamoto |
Principal Investigator |
飯村 伊智郎 熊本県立大学, 総合管理学部, 教授 (50347697)
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Co-Investigator(Kenkyū-buntansha) |
小薗 和剛 熊本県立大学, 総合管理学部, 准教授 (30381015)
石橋 賢 熊本県立大学, 総合管理学部, 准教授 (70749118)
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Project Period (FY) |
2016-04-01 – 2021-03-31
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Keywords | 科学教育 / 科学コミュニケーション / 科学コミュニティ / プログラミング教育 / ワークショップ |
Outline of Annual Research Achievements |
【具体的内容】平成31(令和元)年度は,前年度までに得られた研究結果から確認できた次に示す問題の解決に注力するため,熊本県内の2高校に焦点を当て,スモールスケールで実験を実施した. 解決すべき問題:①プログラミングに対する興味関心の喚起には多大な貢献をしたワークショップであったが,面識のない参加者(高校生)や本実験を支援するメンター(大学生)が一日完結型のワークショップのみでは,それらの距離感(関係性)を縮めるには十分ではない.②そのため,ワークショップ後の継続的な学びにおいて,クラウド上で参加者が発言しづらい状態にあり,構築した科学コミュニティが活性化しない.③ワークショップ直後は継続的な学びに対して高い意識を有していた参加者であったが,②の理由から,科学コミュニティによる継続的なプログラミング学習の支援が効果を十分に発揮できず,アプリ完成まで開発を進めることができた割合が想定を下回っていた.④継続的なプログラミング学習を実施するための高校側の計算機利用環境が恵まれていない. ①②③は,参加者間,参加者-メンター間での関係性を縮めることが肝要であると判断し,従来実施してきたワークショップに加えてアイディアソンを追加実施した.また,これまではクラウド上での科学コミュニティによる遠隔でのサポートを主としていたが,さらに対面でのサポートを実施することで継続的な学びの支援を強化した.④については,協力いただいた2高校とより密接に連携し当該問題が発生しないような環境の確保を依頼した.その結果,クラウド上の科学コミュニティでの一ヶ月当たりのアクティビティは,前年度の実験と比較して増加した.さらに,アプリ開発に取り組んだ全チームが,学習のゴールに掲げたコンテストへの作品提出を達成した. 【意義,重要性等】本研究の発展において重要となる問題の解決の糸口が見えたことは,大変意義のあることである.
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
2: Research has progressed on the whole more than it was originally planned.
Reason
平成31(令和元)年度は,前年度までに得られた研究結果から確認できた,先に述べた4つの問題(①から④)の解決に注力するため,熊本県内の2高校に焦点を当て,スモールスケールでの実験を予定通り実施した.具体的には,私立高校2校に協力を依頼し,1チーム当たり参加者(高校生)3名のチームを5チーム構成した.その参加者を対象に,継続的なプログラミング学習の導入にあたるワークショップを実施した.さらに,参加者-大学生メンター間での関係性を縮めることが肝要であると判断し,従来実施してきたワークショップに加えてアイディアソンを追加実施した(①②への対策).その後,ワークショップの参加者には,同年8月末が〆切のアプリ開発コンテストへの作品提出を目標に,クラウド上での科学コミュニティを利用して,遠隔でのサポートを受けながらのアプリ開発に取り組んでもらった.その際,当該年度においては,科学コミュニティによる遠隔でのサポートに加えて,対面でのサポートを実施することで継続的な学びの支援を強化した(②③への対策).さらに,アプリ開発の取り組み時間や場所,機材などの計算機利用環境に問題が発生しないよう協力校と密接に連携した(④への対策).その結果,クラウド上の科学コミュニティでの一ヶ月当たりのアクティビティは,前年度の実験と比較して増加した.さらに,本研究とは直接関係のない諸事情により途中で研究協力を取りやめた2チームがあったものの,アプリ開発に取り組んだ全3チームが学習のゴールに掲げたコンテストへの作品提出を達成できた.成果に関しては,平成31年度内に国内学会(1件)において発表できた.以上のことから,おおむね順調に進展していると判断した.
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Strategy for Future Research Activity |
平成31(令和元)年度は,前年度までに得られた研究結果から確認できた,先に述べた4つの問題(①から④)の解決に注力するため,熊本県内の私立高校2校に焦点を当て,それぞれの問題に対する対策を講じた上で,スモールスケールでの実験を予定通り実施した.その結果は,先の「研究実績の概要」や「現在までの進捗状況」で述べた通りであり,本研究の発展において重要となる問題の解決の糸口が見えてきた.一方で,12月に開催した「熊本県立大学 アプリアワード」には,当該年度および過去に開催したワークショップ参加者5名を含む合計7チームからの作品提出(開発部門2チーム・企画部門5チーム)があり,本研究の取り組みが,地域において継続的にプログラミング学習に取り組む高校生を僅かながら育成していることが示唆される. 最終年度である令和2年度は,これまでの研究結果を踏まえて,ワークショップ参加経験者間での科学コミュニケーションの派生や共助を伴いながら,いかにして継続的な学びを支援する科学コミュニティを形成していくかについて,新たな科学コミュニケーションのフレームワークとしての適用指針や限界などの特徴を含めて総括する.
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Remarks |
Coders Link*(実験協力者用学習支援システム)(2020年6月現在) *:閉じられたコミュニティのためURLは非公開
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Research Products
(4 results)