2016 Fiscal Year Annual Research Report
Elucidation of the role of language in science instruction through English and Japanese
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16H03068
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Research Institution | Waseda University |
Principal Investigator |
国吉 ニルソン 早稲田大学, 理工学術院, 教授 (30254577)
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Co-Investigator(Kenkyū-buntansha) |
東條 加寿子 大阪女学院大学, 国際・英語学部, 教授 (20258346)
野口 ジュディー津多江 神戸学院大学, グローバル・コミュニケーション学部, 名誉教授 (30351787)
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Project Period (FY) |
2016-04-01 – 2019-03-31
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Keywords | 科学教育 / 言語と文化 / 学習スタイル / 科学教授法 |
Outline of Annual Research Achievements |
①開発作業.英語版OnCALの機能を強化し,新規サーバーへ移行させて,課題となっていた検索速度を改善した.また,日本語版OnCAL (OnCAL.jp)を開発し,日本語テキストを解析可能とした.さらに,日本語による講義として,公開されている21講義分(工学分野)の映像をダウンロードし,教員一名(情報科学分野)から44講義分の映像を提供受けた.これら65講義を書き起こしてOnCAL.jpにアップロードした. ②文献調査.多文化共生における科学教育の課題が多数報告されている.文化的背景や地域によって科学の教授法と学習スタイルが異なるとの指摘.北米では白人による科学教授法は理論的な推理に基づいており,観察を重視する他人種の学習スタイルを軽視していると批判される.つまり、English-medium instructionが世界各国で採用される中,学習者の文化的背景や学習スタイルについて,教員側が意識を高める必要がある.このように科学教育を文化の枠組みの中で捉える試みにおいて,研究代表者と分担者が,日本科学教育学会と日本比較教育学会の会員となり,日本における科学教育の現状と動向を調査し,さらなる知見を得ることにした. ③解析.日本語・英語による講義を比較し,次の結果を得た.まず,代名詞の使い方については,英語による講義では「you/your」が最も多かったのに対して,日本語による講義では第一人称が最も多かった.また,一講義当たりの学習者による質問の数についても,英語の場合は日本語の約10倍だった.これらの結果は,米国の方が日本よりも講義が対話型であることを示し,文化的背景の指標であるPower Distance Indexと合致すると解釈できる.さらに,米国の講義では科学的なtruthが中心であるのに対して,日本の講義ではtruthを導いた「人」が中心となる形跡を見つけた.
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
2: Research has progressed on the whole more than it was originally planned.
Reason
1.解析ツールの開発はほぼ完成した. 2.収集した日本語による講義の数はいまだ少なく,増やす必要がある. 3.日本語版 OnCAL を公開するための許諾が得られない.
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Strategy for Future Research Activity |
2017年度には日本語による講義の数を増やす必要があり,そして公開への許諾を得るように努める.ただし,公開への許諾が得られなくても,解析は可能であることを念頭において,インターネット上で公開されている講義映像をダウンロードして書き起こす作業を進める.日本語および英語による講義を詳細に比較することによって教授法や学習スタイルにおける具体的な相違を特定し,普及するEnglish-medium instructionの採用における課題の特定を目指す.
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Research Products
(4 results)