2017 Fiscal Year Annual Research Report
中等教育化学における文脈を基盤とした学習プログラムの構築
Project/Area Number |
16H03069
|
Research Institution | Gifu Shotoku Gakuen University |
Principal Investigator |
寺田 光宏 岐阜聖徳学園大学, 教育学部, 教授 (40514641)
|
Co-Investigator(Kenkyū-buntansha) |
吉岡 亮衛 国立教育政策研究所, 研究企画開発部教育研究情報推進室, 総括研究官 (40200951)
後藤 顕一 東洋大学, 食環境科学部, 教授 (50549368)
今井 泉 東邦大学, 理学部, 教授 (80711390)
遠藤 優介 愛知教育大学, 教育学部, 助教 (80759051)
|
Project Period (FY) |
2016-04-01 – 2020-03-31
|
Keywords | 化学教育 / 科学教育 / 文脈的アプローチ |
Outline of Annual Research Achievements |
本研究は,中等教育(中学校及び高等学校)における化学授業の質的な改善をするためのプログラムを開発することである。具体的には文脈を基盤とする学習を核とした文脈編及び概念編のテキスト類とそれを用いた授業方式を開発する。 文脈編は,学習者が実生活・実社会との関係性(relevance)をもち,学ぶ意義・有効性を意識できる真正性のあるストーリー性をもつ中等教育化学プログラムを開発するものである。この真正性をもつ課題により知識は実世界に関係づけられる。 一方,理論編は,理解を深めるためには系統的・組織的な知識の獲得が必要である。そのため,文脈による学習と系統的な知識の獲得の橋渡しが重要となる。そこで,化学の理解のための基礎・基本的な理解の要素である原理を集約して「基本概念」とし,これらに化学的な内容を関連づける。 本プログラムは,中等教育における化学の「基本概念」を,その学習・活用形態としての「コンテキスト(文脈)」により,実際の授業での「多様な授業方法(方法)」の3本柱で構成する。 昨年度までに,ドイツなどの先進事例を参考にして日本化学会の歴史的視点,国際バカロレアなどの教育課程の視点,アメリカやイギリスの科学教育の視点,日本の学習指導要領,教科書の視点により,日本における中等教育レベルにおける化学の基本概念を暫定的に確立した。ドイツのChemie im Kontextの基本概念は,概念A:物質・粒子概念,概念B:構造・性質の概念,概念C:エネルギー概念,概念D:力学平衡と化学平衡の概念,概念E:供与体・受容体概念,とされているが,学習指導要領や教科書を検討し日本独自の概念とした。これに基づき,それぞれの概念に属する化学的な内容(contents)を整理・精選した。先行するドイツのChemie im Kontextの授業を現地調査し,基本概念を授業にどのように関連付けるかを確認した。
|
Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
2: Research has progressed on the whole more than it was originally planned.
Reason
本プログラムにおける中等教育化学の基本概念をテキスト及び授業例において独国のKMK化学教育スタンダードとChemie im Kontextプロジェクトの事例,米国科学界スタンダード,日本化学会,国際バカロレア,現行化学教科書及び高等学校学習指導要領解説理科を基礎資料として検討した。その結果,日本の中等教育化学における基本概念を「物質―粒子」「構造―性質」「エネルギー」「供与体―受容体」「化学平衡」とおいた。また,KMK化学教育スタンダードに提示された課題事例の機能と内実を明らかにするとともに, 教科内容の体系化,構造化の観点からその重要性が指摘される基本概念と課題事例との関係性について探った。
|
Strategy for Future Research Activity |
本プログラムにおける基本概念の特質を明らかにし,その基本概念と資質・能力及び授業の関係を明らかにすることに目的を広げる必要がある。資質・能力の中核となる基本概念をもう一度整理し,その特質を明らかにする。また,基本概念を中核として他の資質・能力も同時に育成していくことを目指す。そして,授業デザインは先行しているドイツの例を参考に行う。文脈を基盤とするアプローチは,化学の内容,概念をつなぎ,関連性をもたせ化学と関係する関連性を重視するためレリバンスを文脈の柱とする。
|
Research Products
(13 results)