2017 Fiscal Year Annual Research Report
建築物の構造解析と避難解析との双方向評価によるキーエレメントデザイン
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16H03124
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Research Institution | University of Hyogo |
Principal Investigator |
永野 康行 兵庫県立大学, シミュレーション学研究科, 教授 (00410374)
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Co-Investigator(Kenkyū-buntansha) |
安福 健祐 大阪大学, サイバーメディアセンター, 講師 (20452386)
多賀 謙蔵 神戸大学, 工学研究科, 教授 (40578259)
大野 暢亮 兵庫県立大学, シミュレーション学研究科, 教授 (50373238)
向井 洋一 神戸大学, 工学研究科, 准教授 (70252616)
島 伸一郎 兵庫県立大学, シミュレーション学研究科, 准教授 (70415983)
水島 靖典 株式会社竹中工務店 技術研究所, その他部局等, 研究員 (90554767)
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Project Period (FY) |
2016-04-01 – 2019-03-31
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Keywords | 建築物 / 構造解析 / 避難解析 / 双方向評価 / キーエレメント / モデリング / デザイン / シミュレータ |
Outline of Annual Research Achievements |
構造シミュレータ、損傷シミュレータ、避難シミュレータの相互リンクのためには、それぞれの解析結果を工学的な視点から検定できる可視化システムが不可欠である。特に非構造材の損傷状況は対象とする要素特性(壁、天井、窓、扉等)の相違に応じて、避難経路閉塞、人的被害など、想定される損傷による加害状況がそれぞれ異なる。従って、構造解析により得られた情報からから損傷度が適正に評価されているかを検定するための可視化システムの実装を行う。 2年目においては、(A) 構造シミュレータにより建物各部の応答を厳密に算定し、そこから非構造材の損傷度を可視化・評価する「損傷評価オブザーバ」機能の装備、ならびに(B) 避難シミュレータにより、著しい避難障害の原因となる損傷個所を特定し、非構造材の重要度から、非構造材のキーエレメントデザインを行う「損傷制御オペレータ」機能の装備に取組んだ。「構造シミュレータ」と「避難シミュレータ」から新たに開発する「損傷シミュレータ」にリンクする2つの機能の開発に取組んだ。 前年度に作成した「損傷シミュレータ」における非構造材の詳細モデルにより、種々の非構造材の部分モデルが設置される建物の部分応答を「構造シミュレータ」よりインポートして、建物各部での非構造材の損傷度分布を解析し、損傷状況とその影響度の可視化処理を経て、「損傷評価オブザーバ」の機能の構築・検証を行った。 前年度に作成した「避難シミュレータ」による、建物の利用形態(主として地震発生時間と滞在者の活動状況)の想定により、各部分の非構造部材の重要度指標を算定するシステム開発を行っている。人的被害を低減するために、重要度指標の高い非構造部材を抽出してキーエレメント化すべき箇所として特定する「損傷制御オペレータ」を構築し、非構造材のキーエレメントデザインを提案するため、統合化可視化のための重ね合わせを開始した。
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
2: Research has progressed on the whole more than it was originally planned.
Reason
2年目は、人的被害の定量的予測のための3つの評価レイヤーを構成する、1建物の構造シミュレータ、2非構造材の損傷シミュレータ、3避難シミュレータについて、それぞれの解析結果を統合可視化するための重ね合わせを開始し出せているため。
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Strategy for Future Research Activity |
今後は、「構造シミュレータ」と「避難シミュレータ」の双方向検証に基づく人的被害軽減のための定量的評価のために、本研究で取組んできた非構造材の「損傷シミュレータ」を組込んだ統合シミュレーションを実施する。「損傷評価オブザーバ」機能と「損傷制御オペレータ」機能の妥当性について、統合シミュレーションの結果に基づき検証を行うとともに、本研究計画の総括を行う。 構造シミュレータの解析結果に基づきこれとリンクさせた「損傷シミュレータ」からの損傷度評価のアウトプットを初期条件として、「避難シミュレータ」による避難障害検証を連続して行う統合シミュレーションを実施する。その結果にもとづき、「損傷制御オペレータ」機能によるキーエレメントの特定に関するオペレーションを実施する。 統合シミュレーション結果として得られた非構造材の必要仕様デザインについて、解析結果をユーザに示す可視化の方法、ならびに構造設計的な視点から、結果を工学的に説明するための検証を行う。なお、本解析結果について、コストの視点からの評価も併せて行い、実際の設計を想定した場合に、本研究で開発した解析解が妥当な結果を与えるかを検証する。
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Research Products
(5 results)