2016 Fiscal Year Annual Research Report
スマホアプリを活用した頸肩部筋骨格系症状予防策:学際チームによる課題解決型検証
Project/Area Number |
16H03137
|
Research Institution | Nagoya City University |
Principal Investigator |
榎原 毅 名古屋市立大学, 大学院医学研究科, 講師 (50405156)
|
Co-Investigator(Kenkyū-buntansha) |
松田 文子 公益財団法人大原記念労働科学研究所, 研究部, 主任研究員 (40399340)
松河 剛司 愛知工業大学, 情報科学部, 准教授 (30580518)
山本 奈央 名古屋市立大学, 大学院経済学研究科, 講師 (70551662)
|
Project Period (FY) |
2016-04-01 – 2019-03-31
|
Keywords | 労働衛生 / 筋骨格系障害 / 予防医学 / ビックデータ解析 / 疫学 |
Outline of Annual Research Achievements |
スマートフォン(以下スマホ)やタブレットなど利便性の高い携帯端末の技術革新は社会における働き方を変え、多くの恩恵をもたらす一方で、携帯端末の長期利用に伴う頸肩部筋骨格系症状(MSD)への影響が近年では懸念されている。そこで本研究では、携帯利用行動の変容を促す改善志向型スマホアプリを活用した、MSD予防策の効果を検証する。 平成28年度は携帯端末利用が労働者の頸肩部MSDに与える影響を調べるために、独自開発した学術研究用スマホアプリを用いて連続7日間のライフログ経時計測調査を行った。健常なオフィス労働者および営業職等200名を対象に、自身のスマホに同アプリをインストールしてもらい、7日間(勤務日・休日含む)のライフログデータを収集した。現在そのビッグデータ解析に着手している。携帯端末の長期利用に伴う頸肩部MSDへの影響を抽出するためには、近年様々な健康影響のリスク要因として注目されている身体不活動を交絡要因として調整することが不可欠となる。ライフログ経時データを活用して単純身体不活動と携帯端末利用時の身体不活動の質的分類も行いつつ、携帯端末利用と頸肩部MSDの関係を分析予定である。 また、平成29年度に開発を行う「頸肩部MSDの発症予測モデルに基づく携帯ライフログを活用した改善志向型アスマホプリ」の仕様へと反映させるために、技術革新による急激な労働形態の多様化について動向予測を行い、将来普及が予想される対象職種・働き方の特性を抽出した。その成果の一部は関連学会にて発表を行った。
|
Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
3: Progress in research has been slightly delayed.
Reason
独自開発した学術研究用スマホアプリを用いて連続7日間×200名のライフログ経時計測調査を実施するにあたり、調査募集・実施を民間調査会社に委託したが、予想より参加者数を確保するのに時間を要した(所定人数に達するまで当初計画では1.5ヶ月程度を予定していたが、実質4ヶ月必要となった)。そのため、解析に着手するのが遅れたが、計画自体は大きな変更はなく、順調に進展している。
|
Strategy for Future Research Activity |
平成29年度は、頸肩部MSDの発症予測モデルに基づく携帯ライフログを活用した改善志向型アスマホプリの開発を行う。そのために主に次の3点に取り組む。 第一に、前年度に収集したデータセットを用い、携帯端末利用要因と個人・物理的・心理社会的要因の各変数から頸肩部MSDの発症予測モデル・解析アルゴリズムを構築する。変数選択には変数増加法(P<0.2の変数を追加)により変数を取捨選択すると共に各種モデル適合度指標(寄与率、対数尤度)を算出、モデル選定を行う。最終的に選択されたモデルに投入される変数およびその偏回帰係数が求まれば、同モデル式を用いて従属変数(ロジスティック回帰曲線)の確率値を算出できるので、その確率値を「健康リスク予報(頸肩部MSDの発症確率)」として採用、アプリに実装する。次に、行動変容を促しリテンション効用が高い要素を組み込んだ改善志向型アプリの仕様を検討するために、マーケティング理論を応用して携帯利用行動の変容を促す仕組みの影響度調査を実施する(民間調査会社のオンライン・モニターを使ったweb調査、500名・50問を予定)。前年度に実施した労働形態の多様化と働き方に関する動向予測の結果も踏まえ、共同研究者間でブレーンストーミングを行い、アプリ仕様の精緻化を図る。第4四半期には同アプリの動作検証・パイロットテストを実施予定である。
|
Research Products
(5 results)