2017 Fiscal Year Annual Research Report
Development of a device for capturing immune cells
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16H03181
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Research Institution | Tokyo Medical and Dental University |
Principal Investigator |
木村 剛 東京医科歯科大学, 生体材料工学研究所, 准教授 (10393216)
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Co-Investigator(Kenkyū-buntansha) |
中村 奈緒子 芝浦工業大学, システム理工学部, 助教 (70754878)
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Project Period (FY) |
2016-04-01 – 2019-03-31
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Keywords | 生体材料 / バイオ界面 / 免疫学 |
Outline of Annual Research Achievements |
近年、がん免疫治療や自己免疫疾患治療では、免疫抑制性の制御性T細胞や自己反応性の活性化T細胞を選択的に体内から物理的に除去することや新たに注入することが効果的であると考えられている。例えば、がん免疫療法に対してはTregを、自己免疫疾患に対してはTeffを体内から物理的に除去することが効果的と言える。しかしながら、これらを実現するための体内から有効に選択的な細胞除去デバイスは未だにない。申請者らは、標的細胞を選択的に捕獲・回収する細胞捕集デバイスの開発を目的とし、(1)細胞捕集フィルターの合成、(2)細胞の捕獲・回収、(3)担がんモデル動物での評価法の確立を研究課題の大項目として研究を実施した。繊維径・開口径の異なるフィルターを用い、フィルター表面に細胞非接着性ポリマーをグラフト重合し、その側鎖に解離性分子で修飾した抗体を導入して、細胞捕集フィルターを得た。フィルター種類の至適化おより抗体固定化量の調節により細胞捕獲率の至適化が可能となった。細胞捕集フィルターにて捕獲した細胞の回収においては、解離反応の調節により高効率な捕獲細胞の回収が可能であった。捕獲細胞の細胞機能発現は、捕獲前後で有意な差異は認められず、開発した細胞捕獲フィルターの基本的な設計原理が実証できた。また、実験動物を用いた評価のための細胞捕獲デバイスを作製した。モデル流路系を用いた細胞捕獲デバイスによる細胞捕獲においては、静置条件に比べ捕獲率の低下が示され、さらなる研究・改良が必要と考えられた。
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
2: Research has progressed on the whole more than it was originally planned.
Reason
標的細胞を選択的に捕獲・回収する細胞捕集デバイスの開発を目的とし、(1)細胞捕集フィルターの合成、(2)細胞の捕獲・回収、(3)担がんモデル動物での評価法の確立について検討を行った。おおむね順調に進行している理由を項目ごとに以下に記す。 (1)フィルター材料表面に、細胞非接着性ポリマーをグラフト重合し、その側鎖に解離性分子で修飾した抗体を導入して、細胞捕集フィルター合成を行った。異なる繊維径・開口径のフィルターにおいても、グラフト量・鎖長および抗体固定化の制御も可能であり、細胞回収のための解離反応が調節可能な基盤的な手法を確立した。(2)標的とするTregおよびTeff細胞において、細胞捕集フィルターによる選択的かつ高効率な細胞捕獲が可能であった。また、解離反応のチューニングにより、捕獲細胞の効率的な回収が可能であった。さらに、捕獲細胞の機能維持が確認され、本年度の目的は概ね達成された。以上の研究の成果について学術論文として発表した。また、細胞捕集デバイスのプロトタイプを作製し、モデル流路系での細胞捕集についても実施した。静置条件に比して捕獲効率の低下が示され、さらなる詳細な研究と改良が必要と考えられた。(3)細胞捕集デバイスの用いた動物実験評価系を試行した。
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Strategy for Future Research Activity |
(1)細胞捕集フィルターの合成、(2)細胞の捕獲・回収、(3)担がんモデル動物の作出と評価法の確立について研究を実施する。詳細は以下に記す。 (1)Treg細胞およびTeff細胞の捕集フィルターの合成に関して、昨年度に引続き、細胞非接着性ポリマーをグラフト重合し、解離性分子を修飾した認識分子をグラフト鎖に導入する手法にて行う。グラフト鎖の種類・分子量・導入量、認識性分子の導入量、解離性分子をそれぞれの標的細胞に対して至適化する。(2)で行う細胞捕獲については、昨年度より流路系にて評価しており、流路系での至適な細胞捕集のためのフィルターの合成を検討する。 (2)上記(1)で開発した細胞捕集フィルターを用いて、標的細胞の選択的捕獲・回収を検討する。実験結果を(1)にフィードバックし、捕集フィルターを至適化し、細胞の捕獲率、回収率100%を目指す。回収した細胞の生細胞率を評価し、Treg細胞の免疫抑制機能およびTeffの増殖機能を評価する。動的条件下での細胞捕集に関すして、モデル流体中での細胞捕集に関する検討を行う。得られた結果を(1)への細胞捕集フィルターの合成にフィードバックする。 (3)健常マウスの抹消血よりプール血を調製し、プロトタイプの細胞捕集デバイスを用いた基礎的な知見を得る。細胞捕集デバイスを通過させた際の血液中のTregおよびTeffの減少量や、細胞のポピュレーション、捕獲した生細胞率、細胞機能などを検討する。さらに、昨年度に引き続き、体外循環の血液循環条件(サイズ、搭載枚数、血液の循環流速など)と細胞捕集効率について知見を集積する。また、マウスB16メラノーマ担がんモデルマウスを用いて、末梢血よりプール血を調製し、プロトタイプの細胞捕集デバイスを用いた細胞捕集について上記と同様に知見を集積する。また、疾患モデルマウスへのTregおよびTeffの注入の有効性を検討する。
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Research Products
(10 results)