2016 Fiscal Year Annual Research Report
軟組織を対象とした手術ナビゲーションのための臓器位置・変形計測に関する研究
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16H03191
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Research Institution | The University of Tokyo |
Principal Investigator |
中島 義和 東京大学, 大学院工学系研究科(工学部), 准教授 (40343256)
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Co-Investigator(Kenkyū-buntansha) |
斎藤 季 東京大学, 大学院医学系研究科(医学部), 助教 (00646466)
金 太一 東京大学, 医学部附属病院, 助教 (90447392)
中冨 浩文 東京大学, 医学部附属病院, 准教授 (10420209)
小山 博史 東京大学, 大学院医学系研究科(医学部), 教授 (30194640)
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Project Period (FY) |
2016-04-01 – 2021-03-31
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Keywords | 手術支援 / 手術ナビゲーション / 変形補正 / 形状計測 / 位置姿勢計測 / 軟組織変形計測 / 臓器トラッキング / 血管抽出 |
Outline of Annual Research Achievements |
本研究は,医療に使用できるレベルの高信頼性,高精度な可視光による画像 3 次元計測手法,およびそれを用いた物体追跡手法を確立するものである.具体的には,可視光画像から textureを持った表面形状を計測し,形状情報と texture の両方を用いた安定で高精度な物体移動ならびに変形追跡を実現する. 平成28年度は,Textured 形状計測について,レーザ光デバイスと高速カメラによるステレオ位相差形状計測と,多焦点計測による形状計測について,生体計測の実現を目指してハードウェアならびにソフトウェアの両方から改良を加えた.まず,ハードウェアについては,申請時のプロトタイプからさらに計測精度を高めるため,レーザ光デバイスとカメラの間の相対位置姿勢をシミュレーションにより最適化し,計測デバイスを再設計,試作した.高精度化のためレンズを大口径化し,それにともなう光学系パラメータの最適化を行った.試作機は,3D プリンタを用いてフレームを造形し,それにレーザ光デバイスと高速カメラを固定した.また,実用性を高めるべく,計測デバイス位置調整用の駆動部のパラメータに対する精度を検証し,設計の最適化を図った.多焦点画像による計測デバイスにおいても,小型リニアガイドの導入し,またモータ振動の影響を低減させた.ソフトウェアでは,位相差計測法とモアレなどの多重解像度空間コーディング法を比較し,精度を検討した.また,多焦点画像群からの形状復元について,繰り返し最適化に基づく非線形パラメータの解法を提案,実装し,その優位性を確認した. 成果を国際論文誌に発表するとともに,さらなる成果分を国際論文誌ならびに国際会議にて発表すべく,現在,準備を進めている.また,成果の大学承継手続きを行い,H29年5月末に特許明細出願予定である.
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
1: Research has progressed more than it was originally planned.
Reason
Textured 形状計測について,レーザ光デバイスと高速カメラによるステレオ位相差形状計測と,多焦点計測による形状計測について,生体計測の実現を目指してハードウェアならびにソフトウェアの両方から改良を加えた. まず,ハードウェアについては,申請時のプロトタイプからさらに計測精度を高めるため,レーザ光デバイスとカメラの間の相対位置姿勢をシミュレーションにより最適化し,計測デバイスを再設計,試作した.高精度化のためレンズを大口径化し,それにともなう光学系パラメータの最適化を行った.試作機は,3D プリンタを用いてフレームを造形し,それにレーザ光デバイスと高速カメラを固定した.また,実用性を高めるべく,計測デバイス位置調整用の駆動部のパラメータに対する精度を検証し,設計の最適化を図った.多焦点画像による計測デバイスにおいても,小型リニアガイドの導入し,またモータ振動の影響を低減させた. ソフトウェアでは,位相差計測法とモアレなどの多重解像度空間コーディング法を比較し,精度を検討した.また,多焦点画像群からの形状復元について,繰り返し最適化に基づく非線形パラメータの解法を提案,実装し,その優位性を確認した. 特に,多焦点画像群からの形状復元において,従来の復元手法では線形近似して計算していた非線形項が生じる誤差が無視できないことに言及して,その安定解法を提案した.提案した手法は,形状計測誤差を従来とくらべて50%近くに半減させた. 成果を国際論文誌に発表するとともに,さらなる成果分を国際論文誌ならびに国際会議にて発表すべく,現在,準備を進めている.また,成果の大学承継手続きを行い,H29年5月末に特許明細出願予定である.
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Strategy for Future Research Activity |
Textured 形状計測について,平成 28 年度に引き続き,手法の高精度化を行う.また,高速化のため,高性能並列演算を可能にする技術である CUDA を利用するなどプログラムの並列処理化を進め,処理の高速化を図る.脳や肝臓の臓器モデルを用いて移動,および変形の追跡精度を検証し,年度末の動物実験実施を目指す.追跡精度の検証において正解値は既知形状ファントムを用いたり,OPTOTRAK (Northern Digital Inc.) などの高精度な光学式位置計測センサにより計測したりすることで獲得する.Textured 形状を用いた物体移動・変形追跡について,臓器モデル,摘出臓器を用いてパラメータの最適化,手法の改良による高精度化,および並列処理によるプログラムの高速化を行う. また,手術プロジェクションマッピング(PM)システムへの実装を開始する.脳神経外科領域の手術では,術中の脳圧変化や組織切開等によりブレインシフトと呼ばれる脳変形が生じる.これにより,術前手術計画との対応付けが困難になったり,また手術中に電気刺激により確認した脳機能部位の特定が困難になったりする.臓器移動・変形追跡を行うことで,脳変形を補償しながら手術終了まで情報を呈示することが可能になる(図 6).既に発表されている手術 PM 研究では患部を剛体として仮定しており,光学マーカレスで,かつ臓器変形量を補償した手術 PM システムは未だなく,世界に先駆けての実用化を目指す.
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Research Products
(1 results)