2016 Fiscal Year Annual Research Report
Development of a new biodegradable magnesium alloy for medical equipment
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16H03197
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Research Institution | Nagoya University |
Principal Investigator |
内田 広夫 名古屋大学, 医学系研究科, 教授 (40275699)
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Co-Investigator(Kenkyū-buntansha) |
花田 幸太郎 国立研究開発法人産業技術総合研究所, 製造技術研究部門, 上級主任研究員 (00357790)
城田 千代栄 名古屋大学, 医学部附属病院, 病院助教 (20378194)
田井中 貴久 名古屋大学, 医学部附属病院, 講師 (30378195)
木下 学 防衛医科大学校(医学教育部医学科進学課程及び専門課程、動物実験施設、共同利用研究, 免疫・微生物学, 准教授 (70531391)
檜 顕成 東京大学, 医学部附属病院, 助教 (90383257)
田中 裕次郎 名古屋大学, 医学系研究科, 准教授 (90382928)
村瀬 成彦 名古屋大学, 医学部附属病院, 病院助教 (30624332)
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Project Period (FY) |
2016-04-01 – 2019-03-31
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Keywords | マグネシウム合金 / 生分解性 / 新規医療機器 / ステープル / ステント |
Outline of Annual Research Achievements |
これまで既存のマグネシウム合金は強度、剛性、耐蝕性、及び加工性が問題となり、精密な医療機器として使用できなかった。しかし我々の考案した素材成分(生体に使用可能な合金製部材・花田幸太郎・出願済)により微細な製造加工が可能となり、形状(生体吸収性ステープル・内田広夫・檜 顕成・花田幸太郎・出願済)の工夫を重ねてきた。φ0.25mmx幅3mm と精巧緻密で、その形状により屈曲や腐食による破断が起こりにくく長期間の縫合効果を有する新規生分解性マグネシウムステープルを開発した。これまでにステープルの試作、マウスを使った埋植試験等から有効性を確認済である。更に本ステープルを使用した消化管吻合実験を家兎(36匹)や豚(3匹)などの中大動物を用いて行い、縫合不全などの合併症がなく、チタンステープルと同等の安全性および有効性があることを確認した。また実験7カ月後の家兎の腸管吻合部にはチタンステープルは多数残存していたが、マグネシウムステープルは一部のみしか認めず、手術半年後にはマグネシウムステープルはほぼ分解吸収されることも確認した。吻合部の病理検査ではステープル周囲の組織学的炎症は軽度で、チタン製ステープルとマグネシウム合金ステープルも同等であった。現在、製造過程を再度見直し、加工方法を変更することでより断裂しづらい、保持性の高いステープルが出来上がった。それらのステープルのin vivoでの分解動態を検索しており、毒性試験も施行中である。
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
2: Research has progressed on the whole more than it was originally planned.
Reason
2016年度の成果として消化管吻合長期飼育実験(家兎 計36匹)を施行し生分解性マグネシウムの腸管吻合における有効性を確認した。飼育実験7カ月後の家兎の腸管吻合部にはチタンステープルは多数残存していたが、マグネシウムステープルは一部しか認めなかった。本研究で手術半年後にはマグネシウムステープルはほぼ分解吸収されることを確認した。更に吻合部周辺の炎症所見及び周囲組織の癒着に関してもマグネシウムとチタンで有意差を認めなかった。国内のマグネシウム医療機器のガイドラインはガイドライン作成委員会のもとで作成中であり、今後向かうべき明確な方向性が決定できないのが現状であるが、国内の第一人者である産総研 花田幸太郎、日本食品分析センターと協力しつつ、マグネシウムステープルの腐食に関する経時的な定性定量評価並びに引張試験などの耐久性評価を行い、ステープルの最適化を図っている。マグネシウムの体内模擬環境における分解動態を検討中である。人工血漿などに浸漬し、ICP質量分析装置による抽出金属を分析中である。
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Strategy for Future Research Activity |
マグネシウム合金の国内の第一人者である産総研 花田幸太郎、成分分析、毒性試験の専門施設である日本食品分析センターと協力しつつ、マグネシウムステープルの腐食に関する経時的な定性定量評価並びに引張試験などの耐久性評価を行い、ステープルの最適化を図っている。マグネシウムの体内模擬環境における分解動態を明らかにする。 様々な規格のステープルを作成し,体内模擬環境(人工血漿など)における浸漬試験(1-12週間)を行い,ICP質量分析装置による抽出金属の分析,走査電子顕微鏡/元素マッピングによる生分解挙動(耐蝕性)および腐食産物の同定,引張試験による経時的な機械的特性の変化(強度,耐久性),生分解寿命などを評価する.これらの体内模擬環境における基礎データと動物実験の結果を比較しながら,腐食現象に伴う安全性評価および消化管吻合に適した強度となるよう改良を行い,最適な規格を決定する.また,豚の胃,小腸,大腸,肺,気管の厚さ,貫通力,ストロークを測定し,それらのデータを基に作成した模擬臓器を用いて,ステープルが破断や変形することなく確実に組織を吻合できるか評価し,医療機器としての安全性・信頼性を高め、GMPに適合する製造方法を確定する.更に基礎物性試験を行い生体への安全性を最終確認する.ステープルの規格を決定すると同時に,ステープルを格納するカートリッジ,および,縫合器のプロトタイプを試作する.これらのプロトタイプは某医療機器メーカーに外注予定である.
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Research Products
(2 results)