2017 Fiscal Year Annual Research Report
造影剤投与後の心臓に対する音響放射力インパルスの安全性評価
Project/Area Number |
16H03198
|
Research Institution | Doshisha University |
Principal Investigator |
秋山 いわき 同志社大学, 生命医科学部, 教授 (80192912)
|
Co-Investigator(Kenkyū-buntansha) |
谷口 信行 自治医科大学, 医学部, 教授 (10245053)
笹沼 英紀 自治医科大学, 医学部, 准教授 (90511709)
|
Project Period (FY) |
2016-04-01 – 2019-03-31
|
Keywords | 期外収縮 / ウサギ心臓 / 超音波照射 / T波 / 超音波造影剤 / 照射タイミング / ARFI / 超音波Bモード画像 |
Outline of Annual Research Achievements |
日本白色種ウサギ(3kgオス) を用いた動物実験を実施した。全身麻酔下に仰臥位とし前胸部と腹部を除毛し,呼吸に伴う照射位置の変動を極力減らすため気管切開し呼吸調整した.超音波イメージング装置で心臓を観察し,4chamber viewで右房,右室,長軸像で左室を描出し,ARFI照射部位はA.右室,B.右房,C.左室壁の3点とした。不整脈の頻度と形状を造影剤投与の有無で比較・観察した.造影剤はペルフルブタン(ソナゾイド;)を使用し,静脈注射2分後にARFI照射を行った.照射条件はパルス幅:1 msec,照射回数:30回,照射間隔は脈拍3回に1回,R波から200msec とした.3羽に対して照射を行った。造影剤未投与の照射では不整脈は認めなかった。造影剤投与後の照射では不整脈を認めた。不整脈は単発の心室性あるいは上室性期外収縮で,致死的な不整脈は認めなかった.右心系の照射と左心系の照射では起源の異なる期外収縮が確認された。これまでの実験でMI1.8以上の条件下において造影剤の持続静注下で肝臓の温度上昇や,心臓において不整脈が検出されることを報告してきた。しかし,これまでの実験ではBモード画像で確認した照射部位にARFIが正確に照射されているか不確実である点に問題があった。今回導入した動物実験専用の新システムにより,Bモード画像を得ながらARFI照射を設定した場所に確実に照射できるようになった.また,新システム導入により,MI0.8~1.1とこれまでより小さいMI値でも造影剤投与下においてのみ不整脈が誘発されることが明らかになった.さらに, Bモード画像を得ながら,ARFIの焦点位置を変更することができるようになったため刺激伝導系の特定の部位に照射することが可能となった.右心系と左心系への照射で不整脈波形が反転することから,ARFI照射が不整脈の誘発により確実に影響を及ぼしていると考えられた.
|
Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
2: Research has progressed on the whole more than it was originally planned.
Reason
MI1.8以上の条件下において,造影剤の持続静注下で不整脈が誘発されることを報告してきた.新しいシステムでは,Bモード画像を観察しながらこれまでより精密に照射領域を限定できるようになった.MI値1.8の造影剤単回静注では不整脈が誘発されることはなかったが,本実験では,MI値1.8以下でも造影剤単回静注で不整脈が誘発された.照射部位は刺激伝導系を考慮し3箇所に分けたが,部位により不整脈波型が変化することを明らかにした.また,外的刺激に対して被刺激性の高いT波の頂点前後の受攻期をターゲットに照射を行い,タイミングによって不整脈誘発に差がないことを報告してきたが,新システムの使用により照射部位と照射タイミングに関して,更に詳細な検討が可能になると考えられた。
|
Strategy for Future Research Activity |
焦点位置をさらに浅く設定できるようにさらに装置改造を実施する。あわせて、発熱による超音波プローブの破損を防ぐ機構を導入する。照射部位と照射タイミングの両方の側面から不整脈発生に関してさらに実験を進めていく予定である。得られた実験結果から不整脈発生のメカニズムを解明する。
|