2016 Fiscal Year Annual Research Report
虚血性心不全モデルにおける運動療法と薬物療法の併用効果
Project/Area Number |
16H03199
|
Research Institution | Tohoku University |
Principal Investigator |
森 信芳 東北大学, 医学系研究科, 非常勤講師 (50463790)
|
Co-Investigator(Kenkyū-buntansha) |
伊藤 修 東北大学, 医学系研究科, 准教授 (00361072)
戸恒 和人 東北大学, 薬学研究科, 客員教授 (10217515)
上月 正博 東北大学, 医学系研究科, 教授 (70234698)
高橋 和広 東北大学, 医学系研究科, 教授 (80241628)
|
Project Period (FY) |
2016-04-01 – 2019-03-31
|
Keywords | リハビリテーション / 運動療法 / 薬物療法 / 循環器・高血圧 / 心不全 |
Outline of Annual Research Achievements |
食塩感受性高血圧では心血管疾患の発症率が高く、その機序として酸化ストレスの関与が示唆されている。心不全の発症・進展にも酸化ストレスが関与するという報告が数多くあり、その発生源の一つであるxanthine oxidase(XO)の関与については未だ不明な点が多い。高血圧性心不全における長期的運動(Ex)とXO阻害の効果を明らかにするため、高血圧性心不全を発症するDahl食塩感受性(Dahl-S)ラットにおける食塩過剰摂取による心肥大に対するExとXO阻害薬febuxostat(Fx)の効果について検討した。 8週齢の雄性Dahl-Sラットを無作為に①正常食塩食(NS:0.6% NaCl)群、②高食塩食(HS:8% NaCl)群、③HS+ Ex群、④HS+Fx群の4群に分けた、Exはトレッドミル運動(60分間/回、1回/日、5日間/週)を実施し、Fxは3mg/kg体重/dayで経口投与し、8週間後に断頭した。NS摂取に比べて、HS摂取は収縮期血圧、心重量、左室重量を有意に増加させ、Exはこれらを有意に変化させなかったが、Fxは有意に低下した。HS摂取は左室の心筋cross sectional areaを129%に、間質線維化面積を173%に増加させ、Exはこれらを変化させなかったが、Fx投与はこれらを110%に、135%に減少させた。HS摂取は左室のアンジオテンシン変換酵素(ACE)発現、extracellular signal-regulated kinase(ERK)リン酸化を増加させ、Exはこれらを有意に変化させなかったが、FxはACE発現とERKリン酸化を抑制した。以上の結果から、Dahl-Sラットにおいて、食塩過剰摂取は血圧を上昇させ、XO、レニンーアンジオテンシン系、ERKの活性化を伴う心筋細胞肥大や間質線維化を惹起する。Fx投与が血圧上昇や心障害を抑制することから、XOが高血圧性心不全における心障害に関与していること、また高血圧性心不全の治療にXO阻害薬が有効であることが示唆される。
|
Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
2: Research has progressed on the whole more than it was originally planned.
Reason
高血圧性心不全モデルであるDahl食塩感受性ラットにおける、運動療法とxanthine oxidase阻害薬の効果を検討し、その効果を明らかにすることができた。また、虚血性心不全モデルのモデル作成も準備を進めている。
|
Strategy for Future Research Activity |
来年度は、本年度の結果を論文化するとともに、虚血性心不全モデルと5/6腎摘出腎不全モデルラットにおける運動療法と薬物療法の効果を検討する予定である。
|