2017 Fiscal Year Annual Research Report
ランダム化比較試験による認知症等を有する高齢者に対するロボットパロの効果
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16H03212
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Research Institution | Tokyo Metropolitan University |
Principal Investigator |
井上 薫 首都大学東京, 人間健康科学研究科, 准教授 (90259143)
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Co-Investigator(Kenkyū-buntansha) |
柴田 崇徳 国立研究開発法人産業技術総合研究所, 情報・人間工学領域, 上級主任研究員 (30357199)
小林 隆司 首都大学東京, 人間健康科学研究科, 教授 (70337989)
繁田 雅弘 東京慈恵会医科大学, 医学部, 教授 (90206079)
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Project Period (FY) |
2016-04-01 – 2019-03-31
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Keywords | 認知症 / ロボット / 効果 |
Outline of Annual Research Achievements |
本研究の最終的な目標は、RCT(ランダム化比較試験)による研究デザインにより、コミュニケーションロボット・パロの認知症高齢者に対する効果を検証することである。 本年度は、昨年度の初期調査に引き続き、認知症高齢者に対するパロの効果検証に取り組んだ。しかし、途中、調査環境やアウトカムなどの見直しをする必要性が生じた。その理由は、認知症をもつ高齢者に対して、コミュニケーション機会の増加、質的な向上など、パロは一定の効果が認められていたが、定性的な結果によるものであり、定量的な結果については、体調等によるばらつきが大きく統計的に検討が難しい、という課題が新たにクローズアップされたためである。初期的に得た結果からは、各アウトカム間において、パロ導入群と未導入群との間に統計学的な有意差が認められなかった。また、施設によるサービス内容の差異も結果に影響を与えることがうかがえた。RCTの手法によりこの差異は打ち消されると考えるが、すべての調査環境および対象者の条件を再確認する必要性があると判断された。そこでこの状況を踏まえ、調査環境の再調整および有効なアウトカムの再検討を行うための調査を実施した。その結果、協力施設への情報提供や協力体制を見直すこと、アウトカムとしては、NPI(Neuropsychiatric Inventory)、認知症ケアマッピングによる定量的評価、コミュニケーション状態を評価するACISコミュニケーションと交流技能評価等に絞られた。来年度は今まで得られた成果を活かして認知症高齢者に対するパロの効果検証に取り組む予定である。
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
3: Progress in research has been slightly delayed.
Reason
先にも述べたように、本年度は、計画を見直す過程が追加されたため、当初の見込みよりやや遅れている。しかし、実際に実施してみないと把握できなかった部分をこの段階で発見し検討できたことから、研究全体を考慮すると有用な過程であった。スケジュール進行上は、大きな問題はなく、来年度の計画の組み方の工夫で調整可能と考える。
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Strategy for Future Research Activity |
来年度は、本年度の結果を踏まえて、再度、認知症高齢者に対してパロを適用し、その効果を検討する。科学性の高い調査方法ということでRCTを採用していたが、場合によっては実験条件が厳しくなり、十分な対象者数を充足しない危険性もうかがえた。したがって、RCTだけに拘らず、RCTに準じる科学的手法も視野に入れていきたい。
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