2017 Fiscal Year Annual Research Report
発育期における体分節パラメーター変化の競技特性とトレーニングによる変化
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16H03236
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Research Institution | Nippon Sport Science University |
Principal Investigator |
船渡 和男 日本体育大学, 体育学部, 教授 (60181442)
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Project Period (FY) |
2016-04-01 – 2019-03-31
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Keywords | 三次元人体計測 / 体分節パラメーター / 発育発達 / 競技特性 / スポーツバイオメカニクス |
Outline of Annual Research Achievements |
スポーツ科学および応用健康科学分野において、生体での身体体分節の質量、体積、部分質量、重心点あるいは慣性モーメントなどの体分節パラメーター(Body segment parameters;以下BSP)を得ることは、バイオメカニクス研究および発育やトレーニングによる変化を評価するうえで基礎的かつ重要な資料となる。本研究では、光学式三次元位置検出装置を用いて生体を全身スキャンにより再構築した3D画像から、解剖学的基準に基づいて各体分節を分離を試みた。組織分布データを三次元体積データに挿入することにより推定式を作成し体分節のBSPを算出した。被験者はジュニア競技者、同一年齢の一般健常者とした。平成29年度では主に以下の研究について実施した。 三次元人体形状装置によって全身をスキャンし、再構築された立体画像を解剖学的モデルに基づき14の体分節に分割し、体分節質量、重心位置および慣性モーメントなどのBody Segment Parameterを算出した。 体分節質量の再構築を行った後に重心点を求め、先ず重心を通過する慣性主軸三軸を決定し、それぞれの軸周りの慣性モーメントを算出した。 研究開始2年目は成人男女それぞれ10名ずつの合計20名について計測を実施し、長育、周育、体表面積および各BSPの正確性と妥当性を検討した。さらに競技者として競泳選手、女子ソフトボール選手及び体操選手を対象として三次元人体形状の身体的特徴について検討した。 また三次元人体形状の特徴を定量的に示すためには、ソフトウエアの新規開発が不可欠であるために、工学的専門知識の提供や製作者とも連携して研究を進めた。また主としてアメリカやヨーロッパの大学や研究機関などが同様の開発を進めているワークショップやセミナーに参加することにより、学術的研究交流を深めた。
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
2: Research has progressed on the whole more than it was originally planned.
Reason
本研究の主目的は、「三次元人体計測データの発育発達や競技特性およびトレーニングによるBSPの変化を検討する」ことであり、そのために申請当初に計画していた以下の2点について、概ね順調に研究が進められてきていると評価できる。①競技者および一般成人について光学式三次元人体形状側手装置による人体計測値およびMRI法による体分節組織分布の正確性と妥当性を検討し、両者を統合したデータから体分節質量や慣性モーメントなどを算出する方法論を確立する。②前述の方法から得られたBSPについて、同種目でのトップ競技者あるいは同一年齢の他種目競技者を比較して、ジュニア競技者の競技特徴あるいは発育発達による特異的な特徴を明らかにする(競技者は、体操、競泳、陸上中長距離種目、重量挙げなどを予定している)。 平成29年度では、一般人に加えて、発育期競技者を対象として、競技特性やトレーニングによる変化の観点から従来のパラメーターを用いた方法との比較を行うことが出来た。つまり屍体、幾何学的手法および写真分析法など従来から求められている手法でBSPを算出し、本研究で求めた値と比較を行った。 被験者を男女の体操競技、競泳競技、陸上中長距離およびウエイトリフティング競技のジュニアアスリート(中学、高校生)を対象として、BLS法とMRI法とにより体分節パラメーターを算出することにより発育やトレーニングによる体分節パラメーターの変化をとらえた。
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Strategy for Future Research Activity |
「体分節パラメーター推定式の妥当性の検討とジュニアアスリートへの応用する」 MRI法を併用して求めた体分節パラメーター推定式の妥当性を検討するために、身長や体重の異なる成人男女およびアスリートを無作為に抽出しBLS法のみによる推定法を用いて体分節パラメーターを推定する。さらに同被験者についてMRI法を追試することにより、本手法の推定式の妥当性および汎用性に関しての検討を行う。 平成30年以降に関しては、体操競技、競泳競技、陸上中長距離、ウエイトリフティング競技のジュニアアスリートそれぞれにつき男女10名ずつの合計60名、一般成人男女10名ずつの合計20名さらにトップアスリートに関しては、陸上短距離選手男女20名、中長距離選手男女計20名、体操競技選手男女20名、競泳選手男女20名およびウエイトリフティング競技男女20名の合計100名を予定している。加えて体表面積の算出(基礎代謝や安静時代謝との関連、健康科学)や各身体セグメントの体積、部分重心点や関係モーメントなどの算出(スポーツバイオメカニクスへの応用)、スポーツ特異的な姿勢分析(例えば競泳のストリームライン姿勢での揚力、抗力推定などの流体力学的応用)などに研究を発展させていく予定である。被験者数を増やすのに伴い作業効率を上げるために、BLSデータを無線ランで統合型分析システムに送信し、BLS測定終了と同時に慣性パラメーターを算出可能な統合システムの作成する。 MRI法を併用して求めた体分節パラメーター推定式の妥当性を検討するために、身長や体重の異なる成人男女およびアスリートを無作為に抽出しBLS法のみによる推定法を用いて体分節パラメーターを推定する。
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