2016 Fiscal Year Annual Research Report
「職場を健康増進の拠点」とするための労働体力科学研究
Project/Area Number |
16H03251
|
Research Institution | National Institute of Occupational Safety and Health,Japan |
Principal Investigator |
松尾 知明 独立行政法人労働者健康安全機構労働安全衛生総合研究所, 産業疫学研究グループ, 研究員 (30582697)
|
Co-Investigator(Kenkyū-buntansha) |
田中 喜代次 筑波大学, 体育系, 教授 (50163514)
|
Project Period (FY) |
2016-04-01 – 2019-03-31
|
Keywords | 運動療法 / 食事療法 / 高強度運動 / 食事制限 / メタボリックシンドローム / 体力 / 労働衛生 |
Outline of Annual Research Achievements |
健康の維持増進・疾病予防には“余暇時間の運動“が推奨される。しかし、現代に生きる多くの忙しい労働者にとって、その実践は難しい。一方、医療費高騰問題を背景に、最近は”健康経営“など、多くの労働者が長い時間を過ごす職場を“健康増進の拠点”とする考えが注目されている。近年、研究代表者らは体力低位者が時間効率良く体力を改善させられる運動トレーニング法を開発する研究に取り組んできた。最近の研究では、この運動と食習慣改善を組み合わせたプログラム(HIAT + CR)を考案し、メタボリックシンドロームに該当する労働者を対象とした実験で一定の成果を得ている。本研究は、考案した介入プログラムを実際の労働現場に適合させるための方法論構築を目指すものである。 平成28年度は、HIAT + CRを改良するための実験、すなわち、HIAT + CRに関する以前の実験で得られた2つの課題(①HIAT介入のタイミング(食事制限の前か後か)は検査数値の改善の程度に影響するか、②週3回のHIATで高めた全身持久性体力は、その後、週1回のHIATで維持できるか)を解決させるための実験を行った。メタボリックシンドローム該当者を対象とした6ヵ月間の介入実験である。医療機関との提携で行った介入実験は順調に進捗し、予定していた全データを得ることができた。現在、詳細な分析を行っている段階であるが、この実験によりHIAT + CRの改良版が提案できる見込みである。
|
Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
2: Research has progressed on the whole more than it was originally planned.
Reason
介入実験を当初の計画通りにおこない、予定していたデータを得ることができた。
|
Strategy for Future Research Activity |
今後は考案した介入プログラムを実際の労働現場に適用させるための具体策を構築することが課題となる。HIAT + CRは、体力や血液検査数値を時間効率良く改善させられる点が一つの特徴であるが、これまでに得られた成果はあくまで実験室での成果であり、実際の労働者に、また実際の労働現場で活用できるかは不明である。 特に運動実践や食事改善は、多くの人が必要だと感じながらも実践できないところに本質的な課題があるともいえる。次年度は、考案したプログラムを実際の労働現場に適用させる方法論を構築するための最初の取り組みとして、考案プログラムを労働現場で活用する際の障壁を抽出することを目的に、多人数を対象とした疫学調査を行う予定である。
|