2018 Fiscal Year Annual Research Report
貧困はどのように子どもの健康を蝕むのか?媒介要因の解明と子どもの貧困対策の開発
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16H03276
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Research Institution | Tokyo Medical and Dental University |
Principal Investigator |
藤原 武男 東京医科歯科大学, 大学院医歯学総合研究科, 教授 (80510213)
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Project Period (FY) |
2016-04-01 – 2021-03-31
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Keywords | 子どもの貧困 / ベジファースト / 子どもの健康 / 肥満 / 睡眠 / 問題行動 / レジリエンス / 虫歯 |
Outline of Annual Research Achievements |
2018年度までに、足立区における小学校1年生の縦断悉皆調査を4年生まで追跡することができた。さらに、この調査から得られたデータを用いて、以下の9本の論文を執筆し出版した。具体的には、1)子どもの睡眠が不規則であると問題行動が多くなることを解明した。2)両親の帰宅時間がともに遅い場合に子どもの問題行動が多いことを解明した。3)子どもの留守番頻度が多いと子どもの問題行動が多くなること、レジリエンスが高まるわけではないことを明らかにした。4)野菜から食べる「ベジファースト」政策によって小児肥満を予防できる効果があることを明らかにした。5)貧困世帯での子どもへの虐待との関連があること、それは地域のつながりおよび親のメンタルヘルスを媒介していることを明らかにした。6)地域レベルのソーシャルキャピタルが低い場合に子どもの虐待のリスクが高まることを明らかにした。7)子どもの自己コントロール能力が低い場合に、子どもの虫歯リスクが高いことを明らかにした。8)祖父母と同居している場合に、縦断調査で共変量を正しく調整した場合、子どもの肥満リスクは低くなることがわかった。9)地域のソーシャルキャピタルが高い場合に、MRワクチン第2期の接種率が高まることが明らかになった。さらに、子どもの貧困と自己肯定感との関連について解析を進め、貧困であっても解決可能な要因としてロールモデルやサードプレイスの存在が重要であることを明らかにし、関連学会で発表した。
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
2: Research has progressed on the whole more than it was originally planned.
Reason
足立区の行政とのやりとりもこれまでの信頼関係のもと、大きな問題なくよく連携をとって進めることができている。これまでの研究ノウハウが蓄積され、スムーズにロジスティクスを進めることができ、論文執筆に十分な時間を割り当てることができている。
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Strategy for Future Research Activity |
2019年度は小1の定点観測の年なので、これまでの質問紙を中心に悉皆調査を実施する。さらに、3年前に中学2年生であった参加者のうち同意の取れた参加者に追跡調査を行う。また、中2において採血をおこなっているので、生活環境と採血データとの関連に関する解析を進める。また、不登校のリスク要因の解明、生活保護の影響など貧困と子どもの健康に関する重要な課題について解析および論文執筆を進める。
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