2016 Fiscal Year Annual Research Report
Elucidating neural circuits of new hippocampal CA2 region and mechanisms of social memory
Project/Area Number |
16H03304
|
Research Institution | Kansai Medical University |
Principal Investigator |
小原 圭吾 関西医科大学, 医学部, 講師 (60740917)
|
Co-Investigator(Kenkyū-buntansha) |
松田 博子 関西医科大学, 医学部, 教授 (10181736)
武藤 恵 関西医科大学, 医学部, 助教 (50298189)
|
Project Period (FY) |
2016-04-01 – 2019-03-31
|
Keywords | 新CA2領域 / 海馬 / 記憶神経回路 / 社会性記憶 |
Outline of Annual Research Achievements |
海馬CA2は、1934年にロレンテ・デノによって発見されたが、微小な領域であると考えられたため解明が遅れていた。申請者は最近、最先端技術を駆使することにより海馬CA2がこれまで考えられていたより約5倍も大きい領域(海馬新CA2領域)であることを世界に先駆けて証明した。これにより新CA2領域が出現し、新たな研究潮流が生み出され、現在も、世界中の多くの研究者が新規参入している。またそれらの後続グループの研究により海馬新CA2領域が何らかの形で社会性記憶に重要な役割を持つことも明らかになっている。本研究課題においては、光遺伝学を用い海馬新CA2を介する社会性記憶の回路基盤と形成・想起メカニズムを解明することを目指す。計画している研究項目は、1. 海馬新CA2領域の出力経路を同定し社会性記憶の基盤となる神経回路地図を解明すること2. 社会性記憶の形成、想起時における海馬新CA2領域神経活動の役割を解明することである。 これまで海馬新CA2領域が嗅内皮質へ出力しているかどうかは不明であったが、平成28年度においては、本研究代表者によって世界に先駆けて作成された海馬新CA2領域特異的CreノックインマウスとCre依存性に蛍光タンパク質を発現するアデノ随伴ウイルスおよびガラス微小電極による脳定位注入装置を用いた予備実験により、海馬新CA2領域の興奮性新CA2神経細胞が嗅内皮質へ軸索を投射しない(出力しない)ことを見出した。これに並行して、その他の領域への興奮性新CA2神経細胞の軸索投射の解析や、野生型のマウス、組織免疫染色法および電子顕微鏡を用いた実験も予定および開始しており、順調に進展している。
|
Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
2: Research has progressed on the whole more than it was originally planned.
Reason
マサチューセッツ工科大学のマウス送付者の事情により、海馬新CA2領域特異的Creノックインマウスの日本への輸送が遅れたが、現在は、関西医科大学において順調に繁殖しており、コロニーをおおむね順調に拡大しているところである。 また海馬新CA2領域特異的CreノックインマウスとCre依存性に蛍光タンパク質を発現するアデノ随伴ウイルスおよびガラス微小電極による脳定位注入装置を用いた予備実験により、海馬新CA2領域の興奮性新CA2神経細胞が嗅内皮質へ軸索を投射しない(出力しない)ことを見出しており、おおむね順調に進捗している。
|
Strategy for Future Research Activity |
本研究課題の計画通りに海馬新CA2領域特異的CreノックインマウスとCre依存性アデノ随伴ウイルスによる組織解剖学的実験および光遺伝学実験を推進し、 海馬新CA2領域の出力経路を同定し社会性記憶の基盤となる神経回路地図の解明と 社会性記憶の形成、想起時における海馬新CA2領域神経活動の役割の解明を目指していくとともに、本研究課題の目標達成を大幅に促進させる可能性のある新技術の開発にも並行して取り組んでいく予定である。
|
Research Products
(1 results)