2016 Fiscal Year Annual Research Report
General Research on Cross-Border Migrations related to conflicts in Middle East
Project/Area Number |
16H03307
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Research Institution | Tokyo University of Foreign Studies |
Principal Investigator |
高岡 豊 東京外国語大学, 外国語学部, 研究員 (10638711)
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Co-Investigator(Kenkyū-buntansha) |
濱中 新吾 龍谷大学, 法学部, 教授 (40344783)
今井 宏平 独立行政法人日本貿易振興機構アジア経済研究所, 地域研究センター中東研究グループ, 研究員 (70727130)
山尾 大 九州大学, 比較社会文化研究院, 准教授 (80598706)
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Project Period (FY) |
2016-04-01 – 2019-03-31
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Keywords | 越境移動 / 移民 / 難民 / 中東 / シリア / イラク / パレスチナ / 紛争 |
Outline of Annual Research Achievements |
イスラーム過激派による人員勧誘のための広報活動、およびシリア、イラクの政情と難民の動向についての資料購入・情報収集を行い、これに関連する業績を発表した。また、スウェーデンにてシリア人、イラク人、パレスチナ人を対象とする世論調査を実施した。調査は、スウェーデン国内で本事業の調査対象となる人々が多数居住するストックホルムとマルメで18歳以上の350人を対象に実施した。調査実施に際しては、調査対象や現地の社会情勢に配慮して質問票の修正が必要となったが、このような作業もスウェーデンにおける移民・難民の状況の一端を反映したものとして考慮すべきである。中でも、滞在許可や難民認定を得るまでに必要な手続き期間の長期化や、彼らを治安上の懸案とみなす地元社会の雰囲気の広がりなど、比較的移民・難民に寛容と考えられてきたスウェーデンでの状況の変化が明らかになった。また、スウェーデンに出張し、同国で滞在許可・難民認定を申請中のシリア人を対象とする聞き取り調査を行った。聞き取り調査を通じ、紛争地からの移民・難民が行先としてスウェーデンを選択した動機や、目的地を決定する際の情報収集の実態について情報を得た。 平成29年度に実施予定の世論調査の準備として、調査をトルコに在住するシリア人を対象として実施することとし、海外出張などを通じて現地の提携先の開拓と、条件面での交渉を行った。トルコ側の提携先としては、同国の外務省系列の研究機関に所属する研究者を通じて準備を進めることとした。これと並行し、調査で使用する質問票作成作業に着手した。
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
2: Research has progressed on the whole more than it was originally planned.
Reason
スウェーデンでの世論調査については、調査対象となる人々の境遇や感情、及び現地の社会情勢に配慮し、イスラーム過激派や調査対象の政治的傾向についての質問をすることができなかった。その一方で、彼らがなぜ多くの選択肢の中から行先としてスウェーデンを選択したのかについて、調査実施前に立てた仮説を検証するに足る水準の世論調査を実施することはできた。また、現地調査の際に行った聞き取りにより、紛争地からの移民・難民が行先としてスウェーデンを選択した動機や、目的地を決定する際の情報収集の実態について重要な知見を得ることができた。 平成29年度に実施する予定の調査の準備、及び現地での提携先との意思疎通を円滑に進めることができた。平成28年度中に現地での提携先を決定し、相当程度調査についての協議を進めることができたため、29年度の世論調査、及び実査への立ち合いを円滑に実施できる見通しが立った。
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Strategy for Future Research Activity |
イスラーム過激派およびシリア、イラク、トルコ情勢等に関する情報・資料の収集を継続する。 平成28年度に実施したスウェーデンでの調査、及びその解析の成果を、内外で発信する。特に、本事業の関心事項であるシリア人の越境移動やシリアでの紛争、そして移民・難民の受け入れ国の状況については、国際的な関心が高いため、海外の学会・学術会議で成果を発信することに努める。 トルコでの世論調査実施のための作業を進める。質問票の作成、調査の実施・実査立ち合い、調査結果の受領と解析を行う。現在の政治・社会情勢に鑑み、トルコでの調査や現地出張に制約が生じる場合も予想されるが、現地機関との連携を密にし、調査実施地・訪問先を適宜変更して対応する。
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Research Products
(18 results)