2017 Fiscal Year Annual Research Report
観光ビッグデータおよびSNSデータを利用した観光情報集積・提供基盤の研究開発
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16H03335
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Research Institution | Nagasaki University |
Principal Investigator |
一藤 裕 長崎大学, ICT基盤センター, 准教授 (90590274)
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Co-Investigator(Kenkyū-buntansha) |
小林 透 長崎大学, 工学研究科, 教授 (90637399)
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Project Period (FY) |
2016-04-01 – 2019-03-31
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Keywords | 観光学 / Web予約データ / 移動履歴 / 観光統計 |
Outline of Annual Research Achievements |
長崎県の観光客は福岡県を拠点としている場合があるため、福岡県まで対象を拡大し定期的にWeb上のデータを収集した。宿泊施設のWeb予約データとして、福岡県の115のホテルを対象とし日々の予約プランと価格と予約可能数を、また、福岡県内のイベントデータとして、Webからイベント実施日とイベント会場と収容可能人数のデータを取得した。これらのデータを利用し、動的価格設定方法に新たな制約条件として、時間(宿泊予定日と予約日の差分)、在庫(予約可能数)、イベント規模、立地条件(ホテル間の距離など)を加え、新たな日々の動的最適価格設定方法について提案を行った。また、その有効性を評価するため、取得データを利用したシミュレーションを行った結果、イベント実施日とそうでない日で状況に応じた動的価格設定ができることを確認した。ただ、立地条件については、イベント会場までの距離を考慮しているが、アクセス方法としてバスや地下鉄などあるため、単純には比較が難しい。そこで、各地点の利便性を評価するための指標として地利値と呼ばれる指標を採用し、これらを自動的に計算するためのアプリケーションの開発を行った。 また、これらのデータおよび、長崎県が収集・公開している観光統計データを利活用できるようにするためのオープンデータ化を容易に行うためのプラットフォームの開発を行った。これらの成果の一部を長崎県内自治体向けに長崎観光活性化支援システムとして公開を開始した。
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
2: Research has progressed on the whole more than it was originally planned.
Reason
これまで収集してきたWebデータだけでなく、大手通信キャリアや、企業との連携により、長崎県内の十分に匿名化されているが、一意に識別できる状態の個人属性情報を持った購買データ、移動履歴情報を蓄積することができた。次年度も同様にデータの提供を受けられるように体制を整えている。また、これらのデータを分析し自治体向けに情報提供するためのシステムを構築できた。さらに、これらのデータを利活用するためのデータベースの整備および利活用するたのプラットフォームの構築も行うことができている。これらのデータと観光統計データを組み合わせて、観光動向把握や予測へとつなげるための手法の確立および検証が可能となっている。 データ収集は継続的に続けていくが、新たに必要となるデータが生じた場合は、長崎県庁や企業との連携により補う予定である。また、これ以外にも独自に企業や自治体からの定期的な会合を行い、データの収集を行うことで、研究を円滑に進められるように体制を整えている。
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Strategy for Future Research Activity |
最終年度では、昨年度までで得られたデータ(移動履歴、購買履歴、属性情報)をもとに、提案してきた手法の妥当性について評価を行う。これらのデータは、特定キャリアを利用している、もしくは、特定アプリケーションを利用している観光客から収集したものであり、観光客全体の動向を代表しているわけではない。そこで、県や市などの自治体が公開している観光統計データとこれまで得られたデータとの突合せにより、各データの有効性を検証する。また、異なることが明らかとなれば、得られたデータから実態を推測するための手法について検討を行い、観光に関するビッグデータの利活用による観光活性化支援に関する研究を発展させる。
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