2018 Fiscal Year Annual Research Report
Updating the concept of morality based on science
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16H03341
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Research Institution | Nagoya University |
Principal Investigator |
久木田 水生 名古屋大学, 情報学研究科, 准教授 (10648869)
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Co-Investigator(Kenkyū-buntansha) |
神崎 宣次 南山大学, 国際教養学部, 教授 (50422910)
村上 祐子 立教大学, 理学部, 特任教授 (80435502)
戸田山 和久 名古屋大学, 情報学研究科, 教授 (90217513)
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Project Period (FY) |
2016-04-01 – 2019-03-31
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Keywords | 機械倫理 / 人工道徳 / 道徳と科学 / 道徳心理学 |
Outline of Annual Research Achievements |
2018年度は(1)道徳性についての様々な科学的研究の結果と社会的・技術的環境の変化に基づいて道徳概念の見直しを行い、そのうえで(2)ロボットや人工知能などの人工的エージェントに道徳性を持たせる可能性について検討を行った。その結果として次のような知見を得た。(1)について。従来の自律的で合理的な行為者による意思決定という前提に基づく道徳性の理解は、道徳性についての科学的研究の知見と整合的ではないし、ますます複雑化する社会と技術の現実に照らして、実践上にも不都合がある。この問題を克服するために、人間と社会、環境、テクノロジーの間にまたがる間主体性のようなものを考える必要がある。特に自律性と責任については、これからロボットや人工知能が様々なタスクを自動でこなすことが増えていくにつれて、旧来の理解のままでは実際上の問題が生じてくる。(2)について。「機械倫理」、「人工道徳」などと呼ばれる分野では一般に、「自律的で合理的な個人による道徳的意思決定と道徳的行為」を考えている。しかし(1)に関連して明らかになったように、このモデルは道徳性について考える適切なフレームワークではない。私たちは「機械に道徳性を持たせる」という問題設定それ自体を考え直した方がよい。昨今のシンギュラリティ論でも顕著であるが、機械を人間と比較しうる行為者と見なすことはテクノロジーと人間の関係を適切に理解する妨げになっている。一方で機械を、人間が利用するためだけの道具と考え、個人が行為者性の唯一の担い手と考えることももはや適切ではない。機械と人間の関係を理解するのに適切な概念的フレームワークが何であるかは今後の研究課題である。
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Research Progress Status |
平成30年度が最終年度であるため、記入しない。
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Strategy for Future Research Activity |
平成30年度が最終年度であるため、記入しない。
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Research Products
(31 results)