2017 Fiscal Year Annual Research Report
東北地方における写真文化の形成過程と視覚資料の調査研究
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16H03364
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Research Institution | Yamagata University |
Principal Investigator |
森岡 卓司 山形大学, 人文社会科学部, 准教授 (70369289)
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Co-Investigator(Kenkyū-buntansha) |
元木 幸一 山形大学, その他部局等, 名誉教授 (10125669)
石澤 靖典 山形大学, 人文社会科学部, 教授 (20333768)
小林 俊介 山形大学, 地域教育文化学部, 教授 (50292404)
佐々木 千佳 秋田大学, 教育文化学部, 准教授 (50400198)
尾崎 彰宏 東北大学, 文学研究科, 教授 (80160844)
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Project Period (FY) |
2016-04-01 – 2021-03-31
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Keywords | 地方写真文化 / 東北表象 |
Outline of Annual Research Achievements |
東北各県の写真研究ネットワークづくりが本年の主たる活動であった。研究グループは東北各県の美術館、博物館等の研究拠点を積極的に訪問し、研究の目的と意義について理解と協力を求めた。その成果として、2018年3月28日に、山形大学人文社会科学部において、東北各県の写真文化の資料調査および研究に専門的に携わっている学芸員3名を発表者として招いた、「大正・昭和期における東北の写真家および写真団体の諸相」と題する研究会を行った。そこでは、これまでそれぞれの地域、あるいは作家や文化団体に関する伝記的歴史的な考証にややもすると閉ざされがちであった資料調査とその評価について、新たな広がりのなかで検討し直す議論がおこなわれ、また、総体としての19世紀末~20世紀東北写真文化をどう考えるか、という視座についても検討がおこなわれた。また、その議論と付随して、互いの調査手法や資料整備の現状についても、情報交換が密に行われ、来年度本共同研究が主催する予定のシンポジウムについても、その基本的な構想が検討された。以上のように、本年度の研究会は、そのシンポジウムの基盤を組織的にも内容的にも形づくるものであった。 上の事業の他には、前年度に引き続く各種資料の整備、および東北各県映像文化の資料調査(当事者への聞き取りを含む)などが本年度の研究内容となった。この他にも、2016年度に行ったシンポジウムの成果を報告書としてまとめ、2017年度内に刊行することを予定していたが、編集作業の難航によって、2018年度の刊行へと変更せざるを得なかった。
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
3: Progress in research has been slightly delayed.
Reason
本研究課題の基盤整備の本格化と研究対象年度の拡大を予定した年度であったが、協力組織の構築、という点では極めて順調に進捗した。研究分担者たちの積極的な努力は、今年度開催した研究会において結実を見たといえる。次年度にはこれを言説史研究とも有機的に組み合わせることにより、一層多角的に研究を推進することになる。一方、資料の収集整備の準備については、点在する資料体の把握につとめ、所蔵可能なものについては整備を行ったが、まだ充分とは言い難い状況にある。また、成果発表という面においては、2016年度シンポジウムの成果報告書の刊行が遅れており、これらの点から、「やや遅れている」の進捗評価とした。
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Strategy for Future Research Activity |
計画年度3年目は、シンポジウムの開催を計画の大きな柱とする。これまでに構築した基盤的な地域間ネットワークを充分にいかすとともに、歴史研究や文学研究などの知見を積極的に組み合わせて、より総合的な研究視野を確保するように努力したい。また、前年度に予定されていた研究報告書の刊行を今年度は完遂することはもとより、次年度以降の研究成果刊行に向けても、より入念な準備を行うために、年度末に集中しがちであった企画を前倒しし、たとえばシンポジウムは年内に開催することを予定している。
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