2016 Fiscal Year Annual Research Report
状況のアーキテクチャーへ:相互行為が生み出す共有の場の芸術
Project/Area Number |
16H03368
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Research Institution | Kyoto City University of Arts |
Principal Investigator |
鷲田 清一 京都市立芸術大学, その他部局等, 学長 (50121900)
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Co-Investigator(Kenkyū-buntansha) |
坂東 幸輔 京都市立芸術大学, 美術学部/美術研究科, 講師 (20774235)
高橋 悟 京都市立芸術大学, 美術学部/美術研究科, 教授 (30515515)
篠原 資明 京都大学, 人間・環境学研究科, 名誉教授 (60135499)
藤田 瑞穂 京都市立芸術大学, その他部局等, 学芸員 (60771003)
佐藤 知久 京都文教大学, 総合社会学部, 准教授 (70388213)
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Project Period (FY) |
2016-04-01 – 2019-03-31
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Keywords | 身体相互行為 / 共有の場 / コンフリクト / ケア / コミュニケーション / アート / 人類学 / 臨床哲学 |
Outline of Annual Research Achievements |
本研究「状況のアーキテクチャーへ:相互行為が生み出す共有の場の芸術、介護、ダンス、建築、デモンストレーション」の目的は、分断された個と社会システムとの間で、いわばその蝶板として機能する、その中間領域で対や組としてはたらきあい、かよいあうような「身体が支え合う状況=共有の場」の構築を目的とするものである。本年度は、「身振りの消失」と「手がかり」:拡張された領野としてのケアに於ける「身体相互行為」をテーマにして主な研究制作を進めた。ここでいう身体相互行為とは、他者や環境への身体による「働きかけ」であると同時に、それへの「応答」を指す。ヒトのからだの動きが、働きかけや、応答として成立する為には、まず、環境や他者の行為の中に埋め込まれた、きざし、手がかりを見出し、自己に関係する場面の中で整える必要がある。そのような、きざしや、手がかりを見出すことができない時、ヒトのからだの動きは、宙に浮いたままで宛先のない無意味な運動となる。例えば、バリアフリーが整備された病院環境で徘徊する記憶障害を伴った高齢者が、一時帰宅した際には、室内で迷うこともなく、炊事場に立ち調理をするなどの事例が報告されている。これは、敷居のない病院に於いては、身体相互行為を成立させる手がかりを見出せなかった患者から消失した身振りが、多様な敷居=手がかりが混在する住みなれた家屋においては取り戻された(身体と環境の相互拡張)ともいえる。以下に、各領域での具体的な調査方法と領域を横断する分析方法を上げる。・身体間に於ける相互行為: 身体図式の連鎖、変換、ずれ、離脱、放置の過程・介護の場面での身体相互行為・ダンスの場面での身体相互行為・建築空間での身体相互行為・建築と介護。本年度は、これら異なった領域を共通の手法で包括的に捉えると共に、生きた場面での理論として臨床哲学の立場から概念構築の基盤調査を中心にした研究となった。
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
2: Research has progressed on the whole more than it was originally planned.
Reason
介護・ダンス・建築・デモンストレーションを「拡張された領野としてのケア」として捉え直すことの発端を捉えることができた意味は大きい。これらにおいては身体相互行為のプロセスをいかにして記述するという事が重要である事が明確になり、通常の画像の記録や解析ツールだけではなく、主観的な経験をコトバで記述する為の多様な手法を発展させる必要があるだろう。
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Strategy for Future Research Activity |
前年度の成果を踏まえ、次年度は、「共有の場」を中心テーマに研究を進める。 特に「中間の消失」と「ひきこもる身体」:拡張された領野としてのケアに於ける「共有の場」という方向からの研究制作へと発展させる。
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Research Products
(7 results)
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[Presentation] 共生と創造2016
Author(s)
高橋悟
Organizer
愛知淑徳大学
Place of Presentation
愛知淑徳大学 愛知県長久手市
Year and Date
2016-10-13 – 2016-10-13
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