2016 Fiscal Year Annual Research Report
「ホームランド」の政治学――アメリカ文学における帰属と越境の力学に関する研究
Project/Area Number |
16H03395
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Research Institution | Kyushu University |
Principal Investigator |
小谷 耕二 九州大学, 言語文化研究院, 教授 (40127824)
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Co-Investigator(Kenkyū-buntansha) |
高橋 勤 九州大学, 言語文化研究院, 教授 (10216731)
岡本 太助 九州大学, 言語文化研究院, 准教授 (90523176)
下條 恵子 九州大学, 言語文化研究院, 准教授 (30510713)
竹内 勝徳 鹿児島大学, 法文教育学域法文学系, 教授 (40253918)
高野 泰志 九州大学, 人文科学研究院, 准教授 (50347192)
喜納 育江 琉球大学, 法文学部, 教授 (20284945)
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Project Period (FY) |
2016-04-01 – 2019-03-31
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Keywords | アメリカ文学 / アメリカ研究 / ホームランド |
Outline of Annual Research Achievements |
本研究は、「ホームランド」をキーワードとしてアメリカ文学を時代、地域、ジャンルを横断して考察し、ホームランドに内在する政治学、その「帰属」と「越境」の力学を明らかにしようとするものである。本年度は以下のような活動を行った。 共同研究のメンバー全員が参加して、研究会を2回(平成26年8月19日、平成27年1月20日)開催した。1回目ではホームランドに関する主要な文献を数点選び、各担当者がその内容についての報告を行い、それをもとに「ホームランド」についての共通理解を得るべく議論を行った。2回目では、喜納がカリフォルニアで行ったカレン・テイ・ヤマシタへのインタヴューをもとにその文学や思想について多面的に報告した。また岡本がアメリカ文学の脱領土化の視点から現代演劇を再検討し、新たな「ホームランド」形成の可能性について報告を行った。 こうした全体での活動のほかに、メンバー各自がそれぞれの専門領域において、海外での現地調査を含めて、研究文献の調査や収集を行い、学会発表や論文執筆を行っている。海外での調査としては、カリフォルニア大学デイヴィス校での資料調査(高橋)、ニューヨーク公共図書館バーグコレクションでの資料調査(下條)、モロッコでのポール・ボールズに関する現地調査(高野)、上述のヤマシタへのインタヴュー(喜納)がある。また、フォークナー、ソロー、現代演劇、オースター、メルヴィルなど多岐にわたる研究対象について各研究者がそれぞれ研究発表、論文執筆を行った(小谷、高橋、岡本、下條、竹内)。そのなかには国際学会での発表(竹内)も含まれている。 まだ共同研究一年目ということもあり、各自の個別研究の成果が「ホームランド」という主題に緊密に収斂していくという状況には至っていないが、その点はいずれ今後もうすこし明確な形をとってくるのではないかと考えている。
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
2: Research has progressed on the whole more than it was originally planned.
Reason
全体での研究活動は予定通り行っており、ホームランド、あるいはホームランド言説についてのある程度の共通した理解が得られたのではないかと思われる。 個別研究に関しては各メンバーの進み具合にばらつきがみられるが、ホームランドから各自の研究対象に取り組むという意思統一はできているので、今後その点は解消されるものと期待している。
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Strategy for Future Research Activity |
前年度にひきつづき、メンバー各自が海外での資料調査などを含めて研究文献の調査、収集、解析などを行っていく。そしてその成果を全体での研究会で報告したり、個別に学会等で発表したりしていく。 また本研究課題をテーマとして学会でのシンポジウム等も計画している。
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Research Products
(10 results)