2017 Fiscal Year Annual Research Report
Represantion of Deviation in Greater China Today
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16H03403
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Research Institution | Kobe University |
Principal Investigator |
濱田 麻矢 神戸大学, 人文学研究科, 准教授 (90293951)
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Co-Investigator(Kenkyū-buntansha) |
田村 容子 金城学院大学, 文学部, 教授 (10434359)
白井 重範 國學院大學, 文学部, 教授 (40365507)
三須 祐介 立命館大学, 文学部, 准教授 (60339653)
小笠原 淳 熊本学園大学, 外国語学部, 准教授 (70634137)
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Project Period (FY) |
2016-04-01 – 2019-03-31
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Keywords | ジェンダーロール / ナショナルイメージ / 非主流 / 日本統治期台湾 / 民国期上海 |
Outline of Annual Research Achievements |
本年度は、9月に武漢大学文学院とシンポジウムを共催し、研究分担者全員が参加して討論を行った。濱田麻矢はジェンダーとナショナリティについて検討した。田村容子は稀代の名優、梅蘭芳のブレーンであった斉如山が渡台後に行った活動に注目し、演劇の紡ぐナショナルイメージに迫った。三須祐介は女性を演じる男性を詳細に追うことでクィア表象とナショナリズムとの共犯関係を明らかにした。白井重範は左翼リアリズム文学をマルクス主義文学理論における異化の概念で捉え直し、政治性と作家性の撞着について新たな位置付けを行った。小笠原淳は日本語で台湾の「蕃地」を描いた作品を比較検討しながら、そこに現れる「蕃女たち」の「恋情」に注目し、台湾を描く文学の性と暴力、さらには宗主国の言語である日本語を使用することの特権性を暴露してみせた。二日間にわたって20人を越える参加者があったシンポジウムの中で、この科研メンバーの報告は高く評価され、国籍、言語、性別、領域を「逸脱」したテクスト/パフォーマンスを追うことの重要性を国内外の研究者と共有することができた。 また、十月には現代中国学会にて「演じられる性-現代中国の演劇・映画におけるジェンダーロールとナショナルイメージの交錯と逸脱」と題したパネルを組んだ。三須祐介は民国期の人気小説が舞台化や映画化されて変容していく中で主人公のジェンダーロール/セクシュアリティがどのように変遷し、時代が要請したナショナリズムにどう応えていたのかを詳細に追い、”男性性”の変容の諸相について論じた。また田村容子は日中戦争期にさまざまなジャンルで描かれた「救国する妓女」をとりあげ、肉体を売り物にすることで正規の婚姻の埒外に置かれた妓女とナショナリズムの交錯した関係を解き明かした。 ディスカッサントとして小笠原淳が、チェアパーソンとして濱田麻矢が参加し、フロアからも活発な意見が寄せられて成功納めた。
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
2: Research has progressed on the whole more than it was originally planned.
Reason
武漢大学のシンポジウムと現代中国学会でのパネルでは、ともにフロアからかなりの反響を得て、東アジアにおけるジェンダーロールとナショナリティの問題が非常に今日的なものであることを確認できた。 代表者と分担者の所属機関が離れていているため、直接顔を合わせて交流する機会を持つことはなかなか難しいが、インターネットによってコミュニケーションを維持し、モチベーションを高め合うことが可能になっている。
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Strategy for Future Research Activity |
各人の研究を進めながら、互いの研究をゆるやかに重ね合わせて大きな問題意識として世に問う手段を考えたい。まずは研究協力者の参加を要請しつつ非公開の形で徹底討論し、出版、あるいは公開シンポジウムの形での成果の還元を試みる。
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Research Products
(15 results)