2019 Fiscal Year Annual Research Report
Basic research on grammaticalization in Japanese and neighboring languages
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16H03411
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Research Institution | Tohoku University |
Principal Investigator |
Narrog Heiko 東北大学, 文学研究科, 教授 (40301923)
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Co-Investigator(Kenkyū-buntansha) |
楊 凱栄 東京大学, 大学院総合文化研究科, 教授 (00248543)
宮地 朝子 名古屋大学, 人文学研究科, 教授 (10335086)
大堀 壽夫 慶應義塾大学, 環境情報学部(藤沢), 教授 (20176994)
上原 聡 東北大学, 高度教養教育・学生支援機構, 教授 (20292352)
LI Jialiang 関西大学, 外国語学部, 准教授 (60747111)
ジスク マシュー・ヨセフ 山形大学, 大学院理工学研究科, 助教 (70631761)
下地 理則 九州大学, 人文科学研究院, 准教授 (80570621)
小野寺 典子 青山学院大学, 文学部, 教授 (90248899)
青木 博史 九州大学, 人文科学研究院, 准教授 (90315929)
真田 治子 立正大学, 経済学部, 教授 (90406611)
柴崎 礼士郎 明治大学, 総合数理学部, 専任教授 (50412854)
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Project Period (FY) |
2016-04-01 – 2021-03-31
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Keywords | 言語変化 / 文法化 / 歴史言語学 |
Outline of Annual Research Achievements |
平成31・令和1年度は、11月30日に東北大学にて本課題の代表者及び5名の分担者(ジスク、李、青木、小野寺、柴崎)で「第4回日本語と近隣言語における文法化ワークショップ」を開き、本課題に関する研究についての発表と討論を行った。また、代表者、分担者各自において、主に以下のような本課題関連研究活動を実施した。ナロックは、8月にドイツ・ケルン大学のB. ハイネ氏を訪れて、世界文法化事典の執筆と刊行を進め、文法化についての書籍執筆(共著)についても協議を行った。ナロックの昨年の研究活動の中心も同じ理論を中心とした文法化の書籍の推進、それから日本語におけるテンス・アスペクトの文法化の方向性についての研究および論文執筆だった。 ジスク氏は、日本語史、漢文訓読史の研究方法、漢文訓読文のグロッシングについての研究、宮地氏は「だけ、ばかり」や「ただ」の文法化についての研からがテクスト構成的な要素への変化についての研究、小野寺氏は、主観的な要素からテキスト構成的な要素への変化について、大堀は、文法化と認知意味論との関係について、下地は、琉球語における「数」表現の変化について、柴崎は、明治時代における英語から影響を受けた文接続表現の発達について、上原氏は、タイ語との対照を含めて授与動詞の文法化についての研究、青木氏は日本語の接続詞及び補助動詞の文法化についての研究、真田氏は、明治時代における語彙の変化、李氏は中国語における双数表現の文法化についての研究を進めた。
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
2: Research has progressed on the whole more than it was originally planned.
Reason
今年度は科研費開始から4年連続で第4回ワークショップを行うことができ、多くの専門家が参加し、会場で熱心に専門的な議論を行った。本国でのこの研究分野の振興につながっている。代表者及び分担者各自の研究が確実に進んでいる。
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Strategy for Future Research Activity |
ナロック(研究課題代表者)は、日本語におけるテンス・アスペクト形式の文法化及び文法化全般についてのB.Heine氏との共同研究を行う。文法化全般についての研究に関しては、特に文法化とスコープ(作用領域)の変化に関する問題に取り組む。先行研究では、作用領域が減少する主張と拡大する主張が併存しているが、この問題は作用領域の定義に起因しており、作用領域を形態的にとらえていれば減少、意味論的にとらえていれば拡大することを示す。また、特に作用領域の拡大と意味変化の方向性との相関関係の解明に取り組む。なお、8月には文法化研究の第一人者であるB. Heineがいるケルン大学を訪ね、これらの問題について協同研究を行う予定である。 ジスクは、漢文訓読によって日本語において生じた文法化について明らかにし、下地は、数と格の範疇を中心に琉球語の名詞句における文法化の問題、宮地は、日本語における「だけ」などの形式名詞及び副詞的な接続詞の文法化の問題に取り組む。上原と楊は、日本語及び中国語の授受動詞・授与動詞を文法化と主観化の観点から分析し、文法化を認知意味論の観点から考察する。小野寺は、対人化とテキスト化に焦点を当て、その観点から接続詞等の分析を行う。ナロックは、上記に加え、文法化と関連する変化課程、つまり語彙化、脱文法化、再適応との相関関係について考察を行う。李は現代中国語における被害表現の文法化に取り組む。青木は、接続詞及び補助動詞の文法化と非文法化、柴崎は、近代日本語において英語等との接触によって生じた文法化、真田は文法化と語彙、北崎は日本語に基づいて文法化の最終段階における意味変化についての研究を行う。 また、12月に東北大学で、以上のテーマについて分担者及び研究協力者を招き、科研費開始から毎年開催してきたワークショップを今年度も行う。
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