2016 Fiscal Year Annual Research Report
「混成言語」から見なおすユーラシアの諸言語-言語接触と言語形成の類型を探る-
Project/Area Number |
16H03417
|
Research Institution | Kobe City College of Nursing |
Principal Investigator |
藤代 節 神戸市看護大学, 看護学部, 教授 (30249940)
|
Co-Investigator(Kenkyū-buntansha) |
片山 修 神戸市看護大学, 看護学部, 准教授 (20295778)
岸田 文隆 大阪大学, 言語文化研究科(言語社会専攻、日本語・日本文化専攻), 教授 (30251870)
岸田 泰浩 大阪大学, 日本語日本文化教育センター, 教授 (40273742)
菅原 睦 東京外国語大学, 大学院総合国際学研究院, 准教授 (50272612)
早津 恵美子 東京外国語大学, 大学院国際日本学研究院, 教授 (60228608)
澤田 英夫 東京外国語大学, アジア・アフリカ言語文化研究所, 教授 (60282779)
|
Project Period (FY) |
2016-04-01 – 2019-03-31
|
Keywords | 言語学 / 混成言語 / チュルク語 / 言語接触 / 危機言語 / 言語生態 |
Outline of Annual Research Achievements |
本年度は初年度であるので、代表者の藤代が中心となり、当初の実施計画通り、ユーラシアを5つのゾーンに分けて分担者、研究協力者とともに各ゾーンの大小言語の使用状況を大枠でとらえ、個別に言語接触の観点から野外調査および文献調査を行った。 今年度の研究各班から主な研究活動をピックアップして報告すれば以下のとおりである:東ゾーンでは、岸田文隆が韓国国史編纂委員会所蔵の対馬宗家文書に含まれる近世時期ハングル文書の調査を行った;西ゾーンでは、吉田浩美(連携研究者)がスペイン領バスク自治州ギプスコア県にてバスク語アスペイティア方言調査を行った;南ゾーンではミャンマー国ミッチーナーで、ランスー語その他の小言語等の語彙調査や文法調査、テキスト収集などを行った;北ゾーンでは、松本亮(研究協力者)がネネツ語の言語調査を行い、その分布域のサモエード系言語とツングース系言語との接触研究を行った;中央ゾーンでは、菅原が新疆地域にてペルシア語から翻訳されたチャガタイ語文献を取り上げ,原文との対照をふまえた研究を行なった。また、アブドリシッドヤクプ氏(ウイグル文献学)を招聘し、共同研究を行った。これらの他にも各ゾーンの担当者により初年度の予定に沿った情報収集などを含めた調査研究が行われた。なお、片山修は、研究成果のウェブ公開システムについて引き続き検討を重ねた 年度末には、ユーラシア言語研究コンソーシアム年次総会(京都大学ユーラシア文化研究センターにて3月30日開催)において関連する研究課題をもつ他の科研費プロジェクトと合同でメンバー個々の研究報告を行った。メンバーほぼ全員が研究発表を行い、関連言語研究に携わる研究協力者等とともに研究討議に参加した。なお、この成果を含む本科研の研究成果については、ユーラシア言語研究コンソーシアムのHPに既に一部を掲げているが、引き続きウェブでの公開作業を進めて行きたい。
|
Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
2: Research has progressed on the whole more than it was originally planned.
Reason
代表者、分担者、研究協力者を含む全員がほぼ初年度の計画を遂行できている。HPなどへの研究成果公開にやや手間取っているが、2年目には「混成言語」を主たるキーワードに据え、更に調査研究を重ねていく素地ができあがっている。
|
Strategy for Future Research Activity |
引き続き、ユーラシア全域をカバーするゾーン毎にメンバー全員が調査研究を遂行するとともに、今年度は、各地域に見られる「混成言語」の様相について情報を共有するのみでなく、その定義などの試みに特につとめたい。 今年度の計画から、何点かやや具体的に挙げれば、日本語を通してみる混成言語について早津が、類型論的観点からの混成言語について岸田泰浩が、言語シフトの過程で生じる混成言語について川澄(連携研究者)がそれぞれ理論的研究を言語調査及び文献調査に基づき、進める。また、藤代はロシアの小言語(チュルク系言語のドルガン語)の生態研究をその形成から危機言語に至るプロセスとしてまとめる予定である。 年度末には、全員で研究成果を持ち寄り、研究発表会を開催するとともに、なお一層、HPあるいは出版物の刊行により広く議論を深め、ユーラシアの混成言語について、他の研究グループとも積極的に研究討議を進めたい。
|
Research Products
(32 results)