2017 Fiscal Year Annual Research Report
コーパス言語学的手法に基づく会話音声の韻律特徴の体系化
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16H03421
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Research Institution | National Institute for Japanese Language and Linguistics |
Principal Investigator |
小磯 花絵 大学共同利用機関法人人間文化研究機構国立国語研究所, 音声言語研究領域, 准教授 (30312200)
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Co-Investigator(Kenkyū-buntansha) |
菊池 英明 早稲田大学, 人間科学学術院, 教授 (70308261)
五十嵐 陽介 一橋大学, 大学院社会学研究科, 准教授 (00549008)
森 大毅 宇都宮大学, 工学(系)研究科(研究院), 准教授 (10302184)
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Project Period (FY) |
2016-04-01 – 2020-03-31
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Keywords | 韻律 / コーパス / 会話音声 |
Outline of Annual Research Achievements |
本研究課題の目的は、コーパス言語学的手法に基づき、独話や朗読音声との比較を通して、くだけた発話を多く含む会話音声の韻律体系を実証的に検証・確立することである。この目標に向け、今年度は特に、アノテーション体系の確立、日常会話のデータへのアノテーション、および予備的研究を推進した。 アノテーション体系の確立、日常会話のデータへのアノテーションについては、日常会話のデータを10サンプル選定し、それに対し、現在の韻律アノテーション基準(X-JToBI簡略版, 五十嵐2015)に準拠してラベリングを実施した上で、くだけた会話音声のために拡張すべき基準について具体的に検討した。それと並行して、アノテーター3名を訓練し韻律ラベリングの作業を進めた。また今後、談話構造と韻律との関係を分析するために、日常会話を対象とした話題転換構造のラベリング方法(転記テキストに基づく話題転換型の分類)を検討し、20サンプルに対しラベリングを実施した上で、それに基づく予備的分析を行った。 研究としては、上述の話題転換構造に加え、次の二つを実施した。1) 基本周波数の抽出が困難な自発音声の韻律のモデル化のため、声質の違いが瞬時周波数に基づく周期性検出器(Kawahara+ 2016)の時間-周波数表現に及ぼす影響の違いを検討した。2) 場としての空間の大きさによる音声表現方法の違いを明らかにするために実験を行い、空間の大きさに適合する音声の韻律的特徴を定量的に明らかにした。
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
2: Research has progressed on the whole more than it was originally planned.
Reason
予定通り、アノテーション体系の確立、日常会話のデータへのアノテーション、および予備的研究を進めている。研究については、現在アノテーションを進めている日常会話ではなく既存のデータを使ったものであるが、これも計画の通りである。
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Strategy for Future Research Activity |
今後は、これまで収録・アノテーションを進めてきた日常会話のデータを分析に加え、研究を発展させる。これまで扱った「日本語話し言葉コーパス」などとは異なり、日常会話のデータは録音状態が必ずしも良いものとは言えず、予定していた分析(例えば呼気段落の自動推定など)ができないこともあるが、こうしたデータの質も見極めながら研究を進めていく。
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