2018 Fiscal Year Annual Research Report
Mirativityにおける「焦点」と「評価」の役割:日英語からのアプローチ
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16H03428
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Research Institution | University of Tsukuba |
Principal Investigator |
島田 雅晴 筑波大学, 人文社会系, 准教授 (30254890)
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Co-Investigator(Kenkyū-buntansha) |
長野 明子 東北大学, 情報科学研究科, 准教授 (90407883)
三上 傑 東北大学, 高度教養教育・学生支援機構, 講師 (60706795)
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Project Period (FY) |
2016-04-01 – 2020-03-31
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Keywords | 日英比較 / 情報構造 / カートグラフィー / 方言 / 普遍文法 |
Outline of Annual Research Achievements |
まず、焦点に関する内容で研究成果があがった。島田と長野がLexique誌に関係形容詞および名詞述語の構造に関するテーマで発表した共著論文がそれにあたる。そこでは、Adger (2013)の関係名詞の分析を援用して、関係形容詞が叙述用法で使われているように見える際の対照焦点の果たす役割について論じた。対照焦点がある、ということは比較の対象があることを意味する。それは、当該事象に関係している個体、要素が複数存在していることを含意することになる。そのような意味を表す場合の構造は、実際は、叙述用法の構造ではなく、限定用法の構造になるため、関係形容詞の的確な構造として認可されるのである。 次に、シルバー人材センターの協力のもと、九州方言実地調査をこれまでの調査をまとめる形で昨年度に引き続き実施した。その成果の一部は、カザフスタンで開催された国際トルコ語学会のワークショップで、長野と島田の共同研究として口頭で発表された。さらに、同じく島田と長野がイギリス言語学会大会で共同で口頭発表した論文は、東京方言と九州方言の「てある」の違いを説明したものである。 さらに、島田が所属する筑波大学とオハイオ州立大学との間で言語学ワークショップ、「筑波・OSU言語科学コラボレーション」がオハイオ州立大学で開催され、島田と大学院生が多数参加し、本研究課題に関する研究成果がポスターで発表された。また、現地研究者によりShimada and Nagano (2017)のMirativityの論文を参考にした口頭発表がなされ、その内容およびMitativityについて意見交換を行った。
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
2: Research has progressed on the whole more than it was originally planned.
Reason
論文の公刊、口頭発表の実施など着実に成果が上がっていることに加えて、本研究課題から方言や形容詞に関する新たなテーマも派生し、研究に広がりが出ている。また、シルバー人材センターとの方言実地調査も回数を重ねてさらに充実度が増している。
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Strategy for Future Research Activity |
これまでの研究の成果に関する論文を複数準備しており、それを確実に完成させる。また、九州方言の実地調査の結果を体系的にまとめ、刊行を目指す。それと同時に、未着手の東北方言の分析や英語のMirative形態素の有無の検討をすすめ、ワークショップ等を開催する。
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