2016 Fiscal Year Annual Research Report
構文部分木頻度の確率的情報に基づく第二言語習得理論構築のための基礎的研究
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16H03444
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Research Institution | Nagoya University |
Principal Investigator |
杉浦 正利 名古屋大学, 国際開発研究科, 教授 (80216308)
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Project Period (FY) |
2016-04-01 – 2020-03-31
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Keywords | 第二言語習得論 / 頻度効果 / 学習者コーパス / 視線計測 |
Outline of Annual Research Achievements |
1)Child Language Data Exchange System (CHILDES)のコーパス及び、 Educational Testing Service (ETS)が作成したETS Corpusを調べ、本研究の目指す第二言語習得研究のための縦断的学習者コーパスの設計を行った。ETS Corpusに含まれる日本語以外の言語を母語とする英語学習者データとの比較も行えるように、エッセイライティングのプロンプトと方法をETS Corpusに合わせて、Criterionを使用してデータ収集をすることとした。試験的に2クラスの授業でCriterionを使いエッセイライティングを行い、授業運営の手順とCriterionのシステム運営の手順を検討し、データ収集手順を確立した。今回、授業で収集したデータのうち実験協力の同意が得られたもの(約8割)について、著作権処理をし、データをCHILDESのCHATフォーマット形式に整形した。これにより、データの収集から整形にいたる一連の手順を確立できた。また、計画を一部変更し、比較のベースラインデータとしての英語母語話者データ(20名分)の収集を当初計画していた2年度目ではなく、本年度行った。 2)収集したコーパスデータを、Stanford Parser により品詞・統語解析し、Discontinuous Data-Oriented Parsing 処理をするためのプログラムDisco-DOP により部分木とその頻度を算出できるように、二つのプログラムが連携してデータ処理が出来るように分析環境を整えた。 3)頻度効果による確率的知識の存在を言語理解面で確認するために、Visual World Paradigm という手法を使った視線計測実験プログラムを試作し動作確認を行うとともに、計測結果のデータ処理を効率的に行うためのプログラムも作成した。
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
2: Research has progressed on the whole more than it was originally planned.
Reason
縦断的学習者コーパス構築の準備と試行的データ収集と整形が順調に行えた。また、英語母語話者データの収集を、前倒しで行うことが出来た。また、コーパスデータの分析に使用する二種類のプログラムを連動し動くように分析環境の整備も行えた。最後に、視線計測実験の準備については、プログラムの開発とデータ処理のプログラムの作成も行えた。ただし、視線計測の予備的実験を行う計画であったが、それは行えなかった。ゆえに、一部予定より遅れているところがあるが、逆に、来年度予定していた母語話者データの収集を先に行えたこともあるので、全体的にはおおむね順調に進展していると判断される。
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Strategy for Future Research Activity |
英語母語話者データについては、先取りをして本年度収集をしたが、データ量が必ずしも多いとはいえないため、来年度、分析をしてみた結果次第で、来年度も追加で収集する必要があるかもしれない。また、視線計測実験については、プログラムの作成までは行えたが、実際の予備実験が行えなかったため、来年度、本実験に先立ち、予備実験を実施する必要がある。
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Research Products
(2 results)