2018 Fiscal Year Annual Research Report
構文部分木頻度の確率的情報に基づく第二言語習得理論構築のための基礎的研究
Project/Area Number |
16H03444
|
Research Institution | Nagoya University |
Principal Investigator |
杉浦 正利 名古屋大学, 人文学研究科, 教授 (80216308)
|
Project Period (FY) |
2016-04-01 – 2020-03-31
|
Keywords | 第二言語習得論 / 頻度効果 / 学習者コーパス / 視線計測 |
Outline of Annual Research Achievements |
昨年度に引き続き、学習者コーパスデータの収集を行った。今年度は、2クラスを対象にCriterionを使った英文エッセイライティングの授業を行いデータを収集した。多くの受講生がデータ提供に同意してくれたが、受講者数が予測を少し下回ったため、2クラスあわせて約60名分のデータを収集した。 これまでに収集したデータと合わせて約230人・述べ約1,800ファイルとなったが、データ収集時のテーマの出題順のカウンターバランスをとることを考慮し、1クラス分のデータを除き、バランスをとったデータセットを本研究で構築・分析対象とする縦断的学習者コーパスのメインデータ(約200名弱・約1,500ファイル)とすることとした。除いた1クラス分は、目的に応じて利用する補助データとした。データ収集後の整形作業はおおむね完了し、コーパス全体の整理・統合を本年度中に行うことができた。 昨年度までに確立したStanford ParserとDisco-DOPを使ってのデータ処理を、今年度収集したデータのみならず、これまでに収集したデータのメインデータ全体に対して行い、構文部分木の頻度一覧表を作成した。構文部分木の総タイプ数はおよそ6万項目となった。また、母語話者の産出データに基づいた構文部分木の頻度一覧表も作成し、学習者データ全体と母語話者データ全体の上位500の構文部分木の対数化頻度の相関を分析し相関係数0.77という結果を得た。今後は、他の言語的特長とあわせて詳しく分析していく必要がある。 視線計測の本実験については、分析対象を与格交替の構文に定め、Visual World Paradigmによる実験を行った。その結果、母語話者では構文の違いによる影響が一部見られたものの、学習者では見られない結果となった。
|
Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
2: Research has progressed on the whole more than it was originally planned.
Reason
3年にわたって収集した学習者コーパスデータの基本的な整理をおおむね完了できた。 構文部分木の基礎的な頻度一覧表を作成できた。 視線計測実験によるデータ分析を一通り終え結果を出すことができた。
|
Strategy for Future Research Activity |
構文部分木の基礎的な頻度一覧表を作成できたが、分析プログラムであるdisco-DOPの処理が、2回以上の出現しかカウントしないこと、そして、より上位の構文部分木に含まれる下位の構文部分木はカウントしない、という2点について、その影響を調べるとともに、別の構文部分木分析プログラムによる分析も試みてみたい。 また、視線計測実験については、さらにデータを追加して、より分析の信頼性を高めたい。
|
Research Products
(5 results)